#194_自由の相互承認を教室サイズで考える
苫野一徳先生のDVDを見直している。
スライドも資料もなく、トーク一本で80分間喋り尽くしているのに学びが多い講義スタイルがさすが。
めちゃくちゃ頭のいい方だと改めて感じた。
そもそも戦争はなぜ起こるのか、という話から始まった。
動物は戦争を起こさない。
人間だけが戦争を起こす。
なぜなのか。
一つは狩猟民族から農耕民族になったから。
すみかを決めることは富を貯めることに繋がる。
富が貯まると、その富を奪い合う争いが起きる。
でもこれだけでは、動物とも大差ない。
哲学者たちは長らく、この問いと向き合ってきたが
なかなか答えは出なかった。
答えが出たのが200年前。
200年前の哲学者たちが出した答えは
人間だけが、自由に対する欲望をもっているから。
動物は自然の摂理に任せて生きている。
食物連鎖の一部となり、食べられるのもまた運命、食べるのも運命。
自然には逆らわない生き方をしている。
人間は違う。
人間は、自由に生きたいという欲望をもっている。
自由になりたい、もっと自由でいたいという欲望。
そして、自分の自由を侵害されると、必ずどこかでその自由を奪い返そうとする。
それが争い、戦争だ。
最初に明示したのは、トマス・ホッブス。
諸国民の富。
そして、ルソー。
ヘーゲル。
自由の相互承認。
この考え方が、今の教育の在り方に繋がっている。
自分の自由を認めてもらうには
自分が支配する側になるか
相手の自由を認めるしかない。
支配する側になると、いずれ誰かに侵略される。
上から一面的にみる以上、必ず恨みを買うからだ。
互いに認め合うことでしか、わたしたちは自由になれない。
自分の自由を保障されない。
これが、生き方として自然に身についている子どももいる。
これが身についている子どもは、自尊心も幸せ指数も高い。
周りの友達が認めて支えてくれるから。
自分の自由しか主張しない子は、幸せ指数は高くない。
恐らく、周りの恨みを買っているのがわかるから。
「友達がいない」感覚になるのは、周りの人たちを認めるサインを送っていないからだ。
互いに認め合うことができれば、子どもたちは変わってくる。
集団の質。
自分の幸せ指数。
支えられていることを実感すれば、人は相手を支えようとする。
自分を満たすことと他者を満たすことは同様なのだ。
クラスの子どもたちには、それに気付いてほしい。
それを実感してほしい。
誰かに感謝されることは、自分を満たすことに繋がること。
自分が満たされると、さらにいろんなことに挑戦したくなること。
二学期はこれを実践レベルで実現させる。
自由の相互承認。
社会ではできていないからこそ、難しいけれど
教室サイズなら、実現できるはず。
実現してみせる。