#178_復興の意味
熊本城を拝観した。
宿泊しているホテルから徒歩10分。
暑い最中だったがてくてく歩く。
近くには大型ショッピングモール。
バスターミナル。
開けた広場では夏祭りの準備をしていた。
どこにあるんだろう?
ショッピングモールから吹いてくる冷房の冷たい風を感じながら歩いていたところ、突如それは現れた。
わかる?
あ、もうわかったかな?
大型ショッピングモールから見える天守閣。
なんじゃこりゃ。
城ってもっと、山の上の方にあるんじゃないの?
これが熊本県民の日常なのだ。
こんな立派な城が毎日見守ってくれてるなんて、何て心強いのだろう。
そこで急にやってきた、大地震。
未だに石垣は崩れたままのところが多々ある。
熊本城は城じゃない。
シンボルであり、心の支えであり、日常なのだ。
そんな支えが、大地震で崩れてしまったら。
そのときの悲しみたるや、いかほどのものか。
実際に見てみて、ようやくわかった気がした。
心理学では、共感(エンパシー)は二種類、認知的共感と情動的共感があると言われているらしい。
今回の共感はまさに、体験によって認知的共感が促された結果、情動的共感が湧いてきた例。
復興とは、単に建物を直すことじゃない。
人々が心の支えに気付き、当たり前に感謝するきっかけとなるもの。
熊本城は今、天守閣の部分だけはかなり復旧が進んでいる。
(石垣はまだまだ時間がかかるらしい)
復興は人々の願いであり、祈りの結晶であり、挫けそうになる心を強く燃え上がらせ支えているものなのだ。