#234_生きる意味

約7年振りに訪れた星野富弘美術館。
そこにあったのは、絶望から立ち直り、力強く生きようとする紆余曲折、そして、身を削るような母の愛だった。

病室にいる富弘さんにとって、花は唯一の自然だった。
1つ1つの花の奥にある生命力、富弘さんが自分の状況と重ねて描かれる花たち。

技術は想いに支えられている。
星野さんの強さは、絶望の淵からの帰還。

故郷を出て故郷が見え、失って初めてその価値に気づく。苦しみによって苦しみから救われ、悲しみの穴をほじくっていたら喜こびが出てきた。
生きているって、面白いと思う。


人間は病気にならなければ百二十五才まで生きられるんだって
そういうことを書いた本が売れてるそうだよ
だけど、病気がなくなったらさぁ あの人たちのことだもの からだを酷使してかえって早死にしちゃうんじゃないかねぇ
そろそろねようか 冬は眠るにかぎるよ
そうだねぇ 春までおやすみなさい
(土の中の会話)

描かれている草花は、すべて星野さんのフィルターを通した自然。
星野さんの死生観が描いた絵だった。

この感性で、わたしは植物を見られないと思った。
絵を描けないと思った。
想像を絶する苦悩、そこから見出した一筋の光。
それがこの、植物たちの生き様だっただろうから。

”生きるって面白い”

絶望の淵に立っても
体の自由が利かなくなっても
自分が思い描いていた未来とは、
全然違う未来がやってきてしまったとしても
”ま、どうにかなるさ”
”これも面白いじゃん”
笑って、そう感じられる。

そんなことを感じられる感性を磨けたら
どんな自分と出会っても
きっとわたしは、幸せだと思う。

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