#105_教科書問題を考えるー柴田義松「教科書」ー
すごい名前の本を見つけた。
その名も「教科書」
よい教科書について議論されている、一風変わった書籍だ。
教育界は、今も昔も「系統主義」「経験主義」の2軸の狭間で揺れている。
わたしたち世代のゆとり教育は、平成半ばから始まった記憶があるが、この書籍で語られるゆとり教育は1977年の学習指導要領改訂時のもの。
「教科書で教える」のか「教科書を教える」のかという議論は、かなり昔からされてきていたらしい。(本書は昭和58年刊行)
教科書教材と、その学習を通して子どもが習得する教科内容とが区別されず、教科書教材が減らされていることへの危機感が語られていた。
真に実のある豊かな教育のために必要なのは、何を育てるかを明確にした上での教材の選定である。
子どもたちの実態に即した教材がもたらす教育的効果は言うまでもない。
一方で道徳科は、教科化されたことにより配布された教科書の使用義務の縛りが厳しいように受け取られ、教材の差し替えは慎重な審議を重ねた上で、という暗黙の了解がある。
わたしの専門は理科だが、理科は県内で採用されている5社の教科書を見比べて授業をつくっている。
採用されている教科書会社以外の学習活動がよいと判断したら、そちらを採用する。
これは他教科であれば当たり前の感覚であるように思う。
一方で、国語科は教科書教材を忠実に使うことが多い。
これは、単元を通して身につけたい力と、教材に描かれる主題を擦り合わせることが、比較的容易だからであると推測できる。
道徳科の場合は、基本的に1時間で1つの学習を終えることが多いため、このような授業のつくりかたに難しさがあると感じている。
機会があれば、国語科との比較も論じてみたい。