#72_子どもの貧困を考える
「子どもの貧困」この言葉をきいたことがあるだろうか。
OECDのデータによると、日本の子どもの貧困率は42カ国中21番目に高く、ひとり親世帯の貧困率では、韓国、ブラジルに次いで3番目となっている。
世界的にみても貧困率が高く、“貧困大国”ともいえる状況だ。
史上最悪の貧困率だった10年前、2012~14年(16.3%)と比べると、現在の日本の貧困率は改善しているといわれている。
しかし実は、ひとり親世帯の貧困率は、依然として世界的に高いというデータが出ていることは、意外と知られていない。
特に母子家庭における貧困率はかなり高く、貧困の連鎖を起こしているというデータもある。
経済状態と学力は相関関係にあると考えられている。
経済格差が教育格差を生み、それが社会に出てからの所得格差に繋がっているからだ。
子どもの貧困が放置されると、まず大学卒業者が減少し、中卒が増える。
非正社員や無業者も増加する。(現在より一割増加するというデータもある。)
生涯所得の平均が減ると、国の税収も減る。現在行われている公的サービスが削減されるか、所得のある人たちにさらに課税するかという未来が見える。
子どもの貧困はヒトゴトではない。
国を滅ぼす可能性があるのだ。
(参考文献:子供の貧困が日本を滅ぼす・文春新書、2016年)
この状況には国も危機感を抱いていて、現在様々な対策が行われている。
① 金銭的援助
② 学力の保障
③ 非認知能力の向上
① 金銭的援助
子どものいる世帯への子ども手当てはその最たるものだが、ほかにも子ども食堂や低所得世帯への給付金などはこれに当たるだろう。
ダイレクトに子ども世帯に響く支援である。
② 学力の保障
令和3年度の中教審答申で注目された「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実や、GIGAスクール構想におけるタブレットの配布は、経済格差における学力格差の拡大を緩和するための対策であると考えられる。
そのためには教員の質の向上も欠かせないが、そこまで手が回っているとは考えにくい現状がある。
教員不足が慢性的になって久しい。
少子化も相まって、学校間の統廃合はさらに加速するだろう。
義務教育校がこれからますます増えることが予想できる。
③ 非認知能力の向上
非認知能力の高い子どもを定点で追うと、学力が高まり就職率も高まるという研究データがある。
非認知能力を伸ばせる最大の場は、自然体験活動である。
幼児教育の無償化や、体験活動を実施するNPOへの補助は、この効果を狙っていると考えている。
しかも、幼児期のこのような活動の実施は費用対効果が高い。
つまり、コスパがよい支援なのだ。
いずれにしても、このような活動自体を親が知る機会、または該当する子どもが知る機会が必要だ。
この内容を含んだ道徳の授業ができないかと、現在案を練っている。
週末のセミナーでお披露目する予定。
もう少し、悩もう。
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