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ガウディの記憶

今、名古屋でガウディ展が開催されているそうだ。
わたしは今夏足を運んだ。

わたしにとって、ガウディは特別な思い入れがある。
父が一番尊敬している建築家、それがガウディだった。
わたしの父は建築士。
40年以上建築業に携わり、その集大成としてわたしが今住んでいる家を設計して、3年前に退職した。

小さい頃から、ガウディの話は耳にたこができるほど話してくれた。

今までの概念を崩す斬新な設計をする建築家であること。

人の体のフォルムに沿うようなベンチをつくりたいと設計したが、ベンチをつくる職人に貼り付けるタイルが局面に合わないからできないと主張され、その職人の目の前で15㎝四方のタイルを割って、細かな破片を接着させることで思いを実現させたこと。

ガウディに魅せられた若き父は、恋人だった母を説得して新婚旅行でスペインに行き、まだ完成にはほど遠いサグラダ・ファミリアを生で見たそうだ。

夢中になってガウディを語る父の話や熱烈に勧められるガウディ関係の書籍を、わたしと母は半分呆れながら聞いたり眺めたりしていたけれど、そんな父の遺伝子をわたしはしっかり引き継いでいるらしく、何かに夢中になるとどっぷりのめり込む大人になった。

ガウディを熱く語る当時の父の年齢になり、わたしは今年初めて自分の眼、自分の意思でガウディを観に行った。

強烈すぎて、頭を殴られたような衝撃を受けた。

細密な図面
ギリシャのパルテノン神殿まで遡る、
建築業に情熱を傾けてきた先人への敬意
何より自分の思いを実現させたいと願う強い意志と情熱。

サグラダ・ファミリアの監督は初代ではなく2代目だったことも、
このとき初めて知った。

若い頃から自然の造形を柱などのモチーフに取り入れていたそうだ。
調べてみると、幼少期の豊かな自然の中での生活に関わっているという。
そしてそれらの建築物は、驚くほど頑丈で美しく、
わたしたちの概念を崩すようなフォルムで、見る人の心を惹きつける。
そこには恐らく、今まで自分を育ててくれた自然と、新たなインスピレーションをもたらしてくれた先人への敬意が含まれているのだろう。

彫刻家の外尾悦郎(70)は「ガウディが天才的なのは、機能と構造と象徴の問題を常に一度に解決していること」と話しているという。

2026年、サグラダ・ファミリアの大聖堂が完成するという。
ガウディの没後100年だそうだ。
わたしはいつか、スペインを訪れるだろう。
父が憧れて止まなかった
ガウディのサグラダ・ファミリアを自分の眼でみるために。

明日は恒例行事の餅つき。
久しぶりに、父の語るガウディをきいてみようかな。


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