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【エッセイ】片付けて起きたことささやかなこと②:親に嫌われていると腹落ちしたら、片付けることができました 

ブラをつけられるようになる。

 
 今までどうしても着けられなかったブラを着けられた。それは、別に何の変哲もない普通のブラ。ずっと登山用のブラを着用していて、普通のブラは引き出しの奥に仕舞われていた。サイズもだいたい合っているのに、どうしても着けられなかった。でも、着けられた。
 片付けられたことと関係ないかな、とも思う。いや、関係ある。

 着けられなかった理由は2つ。

 1つ目は、締め付けに耐えられない。
 2つ目は、着けることの後ろめたさ。

 胸が小さいせいかもしれない。それに加えてアンダーが大きい。合うブラがない。合っているはずのブラも着けているとモヤモヤする。
 ああ、こんな胸にブラは必要ないってことだろう、なんて思っていた。

 もちろん、授乳しているときは堂々と授乳用を着けていた。むしろ、働き者の胸に誇りを持っていた。授乳が終わっても、私の胸はよく頑張ったな、と思う。

 でも、いつまで経っても女性的なブラに抵抗があった。
 
 登山用のブラは締め付けがなくて着け心地がいい。体を動かすことが多い私にはぴったりだ。育児がハードな頃から愛用している。
 育児が少し落ち着いて、そろそろ普段遣いのブラに戻そうとしたこともある。
 でも、きつくて断念。
 そして、女性が着けるような普通のブラを着けようとしたことが恥ずかしくなった。
 スポーツブラもきつくて断念。
 カップ付きインナーもアンダーがきつくて断念。
 そして、登山用のブラに戻った。 
 機能的で、私にはちょうどいい。
 私の胸にはもったいないくらいだ。
 そんな風に考えていた。

 しかし数日前。
 何となく、持っていたブラを着けてみたら、着けられた。

 締め付けが気にならない。
 前は気になって気になって、断念したのに。

 体重が減ったのが大きい?
 いや、多分、それだけじゃない何かがある。
 自己否定をやめて「自分が女でもいいんだ」となった影響だろうか。
 猫背を改善すべく、正しい姿勢を意識するようになったからだろうか。

 普段遣いのブラは、登山用のブラより、普段遣いのTシャツがきれいに着られる気がする。
 ブラの目的が違うんだから当然なのだろうけど、そんなことにも気づかなかった。(もちろん、登山用のブラの種類によって違うだろうけど)

 登山用→程よく守りつつ締め付けすぎない、通気性、速乾性、長時間の使用感等重視。

 スポブラ→激しい動きから胸を守ることを重視

 普段使いのブラ→胸を守りつつ、普段着を自然にきれいに見せる

 その他にも、ブラの種類で用途は色々。

 授乳用のブラは肌に優しい物が多かった。産後、肌が刺激に敏感になったことを思い出す。 

 ブラのこと、勘違いしていた。
 目的と用途。
 ちゃんと考えられている。

 普段遣いのブラは、自然ときれいな状態にしてくれるんだ。
 少しでも大きく盛るという行為は、小さい胸を否定されているみたいで大嫌いだった。
 ブラって自分を否定してくる道具だったけれど、胸の大きさがどうこうは関係ない。
 
 必要な人が、必要なものを着けていい

 着けられなかったのは
 自分を否定していた自分のせい。
 自分が女で申し訳ない
 女として価値がない
 のような、メソメソとイジイジを捨ててようやくわかった。

 ブラに罪はなかった。

 しかーし。
 精神論で着けられなかったブラを着けられるようになるの?
 痩せたのと姿勢のおかげ?
 これも一ヶ月でどうにかなるものなの?
 謎は深まるばかり。なんなの、これ。
 登山用のブラはこれからも愛用していくけれど、たまには着けよう普通のブラ。
 着けると女でいることを許された気持ちになる。いつか、それさえなくなって、自然とつけられると良いな。

 着けていいんだよ。 
 大丈夫だよ。
 女性でいいんだよ。
 堂々と
 女性用の下着を着けてもいいんだよ。

 自分にそう言えるようになった。これはとてつもなく大きな変化だ。

できないことができるようになった。つまりは

 ゴミをゴミと気づかず放置していた。
 それを全て捨て、スッキリした部屋になった。
 掃除もしやすい。
 掃除機をかける前にやることが多かった。
 床のものを退かすだけで一仕事だった。
 それが一掃されて、すぐに掃除機を掛けられる。うっかりお茶をこぼしても、拭けばいいだけ。
 嬉しい。

 自分の部屋がきれいになるとは思わなかった。
 自転車に乗れるようになった時に似ているかもしれない。
 乗れるようになってしまえば当然になってしまうけれど、前と後では世界が違う。世界が広がる。

 できないことができるようになると、違う自分になれる。エキサイティング。

 今までになかった自信がついた。
 嬉しい。とにかく嬉しい。

 片付けてみたら、嬉しいと快いを手に入れた。
 あと、自分の力で片付けられた自信。
 部屋にいても、
 「汚いから片付けなさい」
と、いう母の声が頭に響かない。ため息も聞こえない。だってキレイだから!

 大金を手に入れたとか、
 モテモテになったとか、
 でっかい仕事が舞い込んだとか、
 今のところそういうのはない。
 ささやかな変化。  
 
 でも、大きい。
 すごく、すごく嬉しい。
 すごく、すごく快い。
 心には大きな変化だった。
 エキサイティング
  






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