自ら命を絶った息子――命って、生きるってなんだろう?
最愛の息子を亡くし、引きこもりになった母親のその後。
《自由》
私は再婚して、住んでいた町を出た。
引っ越したその町は、遠く離れた場所だから、私の事も、息子の事も誰も知らない。
だから、気兼ねなく外に出られた。
帽子を深くかぶらなくてもいい。
知り合いに会わないよに、隠れながら買い物をしなくてもいい。
普通の生活が、できなくなっていた私は、自由になれた。
今の自分には、学校が嫌で、引きこもりになる若者の気持ちがわかる。
外に出て、同級生に会ったら嫌だから引きこもる。
学校では、自分の事が話題になっていて、悪口言われてるんだろうなぁって考えて、怖くなって引きこもる。
周りから取り残されてしまったような孤独感。
私と同じ。
でもきっと、どこかに逃げ道はある。
だから、
生きてみよう。