なぜ社会科を学ぶのか
週に2〜3日、高校で社会科(主に地理、時々世界史)を教えて15年になります。
先日補講(二学期の出席日数が足りない生徒のための、時間外授業)に参加した生徒が「地理って暗記科目だから」とポロっと漏らしました。
あ〜、そんな感じなのかな?一般的には!
たしかに覚えなければ解けない問題は多いけど、実際には「覚えただけでは解けない」問題の方が多いと思います。
そうそう、自分が高校生の時も、社会科は「やればちゃんと点が取れる」とちょっと舐めていた教科でした。(・・・結果、一番点が取れなかった、という残念な事態に・・・汗)
なのに、今、社会科を教えています。
そして、教えるために勉強できることに心から感謝しています。
件の生徒が「なんのために社会科を勉強するんですか?」と聞いてきたので、即答しました。
「戦争をしないため、だと私は思っているよ」と。
たとえば地理は、地球上の地形や気候といった「地域ごとの個性」を知り、そこに発達した「文化」を学ぶ教科です。それを学ぶことは、そこに生きる人々の暮らしに想いを馳せ、そこに生まれた哲学や価値観をリスペクトすることに繋がります。
歴史を学ぶことも同様です。歴史を知らずに「今」の状況だけで相手のことを判断はできないよと何度も伝えます。
普段生活している「自分の文化圏」だけが「あたりまえ」だと思っていると、「違う文化」に対してどうしても共感や尊敬は生まれにくくなります。「違い」から目を逸らせ続けば、不寛容で偏った社会になります。
だからこそ学ばなければならない。学ぶ、というのは決して暗記することではありません。もちろん暗記して知識がある方が理解も早いし深くなると思います。でも、大事なことは、興味を持つことです。面白がることです!
それは結局「戦争をしない」ことに繋がるはずです。
私は広島出身で平和教育を叩き込まれた世代なのでそう思いますが、それは今で言うと「多様性の理解」そのものです。「違いを認めあえる世界」こそが大事だということです。
今年は「社会科を勉強できる立場でよかった」と何度も思った年でした。
オリンピック、コロナ・・・、世の中が変化していますが、いつまでも異文化に興味を持ち、それを面白がって学び続けていきたいと思っています。