ようこそ福島へ~吾妻連峰のある風景~
少し前、学生時代、そして会社も一緒だった九州出身の友人から、異動でこの春から福島に来ることになったと電話があった。
「おお~!嬉しいわぁ!なんでも手伝うよ!」「奥さん(もまた学生時代の友人!)も一緒に来るの?めっちゃ嬉しい~!」
と喜ぶ私。
あれ?
もしかして、あまり喜んでないの~?
向こうの声色には完全に「とまどい」が含まれている。
そりゃそうか。九州の人からしたら、東北はほぼ外国、というか地の果てみたいなものだろう。
しかも、福島。
福島に転勤になり、福島に住むということは、手放しで喜ぶ事態ではない、よね~。
改めて、Fukushimaについて思わずにはいられない。
今週、打ち合わせやアパート決めに福島を訪れた彼と、夕飯を食べることになった。
車で市内を抜け、八木田橋を渡る時、吾妻連峰の峰々が澄んだ空気の中で鮮やかに稜線を夕空に浮かび上がらせていた。
「こんな大きな山がこんなに近くにあるって、東北に来たって気がするねぇ!」
「いいでしょう!豊かだよね~! あ、山登るんだよね?」
「そうだね。安達太良、飯豊、吾妻、いるうちに登りたいね~! 吾妻連峰は何メートルくらいあるの?」
「2,000メートルくらいだよ」
「え?そんなに高いの?」
「奥羽山脈は案外高くて大きいのよ」
普段の生活の中で、すっかり見慣れた風景になってしまっている吾妻連峰だけど、その大きな山容に抱かれてある福島盆地はやはり豊かな土地なのだと改めて感じる。
頼りにしている息子が、福島に異動になり福島で暮らすことになったということを、九州に住む高齢のご両親が傷心の思いで受け止めていることは十分に理解できる。
会社って厳しいなぁ!と思う。
そして、世界中を旅した旅行会社のベテラン社員で、
大学で地理学を共に学んだ友人で、
私という存在がここにあっても(笑)、
「福島」に対する「そこはかとない不安」があるのだと、それが当然なのだと改めて感じる。
いや、そういう近しい関係だからこそ、素直にそれを表してくれるのだろう。友人としての信頼を感じる。
でも、せっかく福島に住むんだから、この土地の魅力をいっぱい感じ、楽しく過ごして欲しいと願う。
そして、叶うことなら、九州のご両親もぜひ福島に一度いらしていただきたい。
私、案内するからね~!
ようこそ、福島へ!
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