『羅生門』芥川龍之介 テスト問題
現役国語教師である〝国語村長〟が、予想定期テスト問題を作成いたしました。学習の参考にしてください。
教科:高校1年言語文化
教科書:明治書院(他)
ジャンル:小説
テキスト:『羅生門』
著者:芥川龍之介
※以下のファイルをダウンロードしていただけると、縦書きの問題用紙を見ることができます。
【語句・知識の問題】
問1.傍線部A「申の刻下がり」が表す時刻として最も適当なものを次から 選び、記号で答えなさい。
ア 午後四時過ぎ イ 午後五時過ぎ
ウ 午後六時過ぎ エ 午後七時過ぎ
問2.傍線部B「築土」・D「丹塗」・F「暫時」の漢字の読みをひらがな
に、E「ムゾウサ」・I「ノノシ」・J「ハガネ」を漢字に直しなさ
い。
問3.傍線部C「大儀そうに」・G「頭身の毛も太る」、H「語弊があ
る」・のここでの意味として最も適当なものを次から選び、記号で答え
なさい。
C「大儀そうに」
ア 途方に暮れるさま イ 面倒臭がるさま
ウ 呆然とするさま エ 困惑するさま
G「頭身の毛も太る」
ア 喜びのあまり全身に身振いが起こること。
イ 突然の衝撃で全身に毛が生えてくること。
ウ 驚嘆のあまり全身の感覚がなくなること。
エ 異常な恐怖から全身にとり肌が立つこと。
H「語弊がある」
ア 抽象的な言い方で、わかりにくくなる。
イ 感情に任せた言い方で、主観的になる。
ウ 古風な言い方で気どっているように思われる。
エ 不適切な言い方で、誤解が生じる。
K「大目に見てくれる」の意味として適当なものを次から選びなさい。
ア 大ざっぱに考えてくれる イ 厳しくとがめないでいてくれる
ウ 大げさに驚いてくれる エ 激しく動揺してくれる
問4.本文の作者の著作として適当ではないものを次からすべて選び、記号
で答えなさい。
ア 「河童」 イ「斜陽」 ウ 「歯車」 エ 「戯作三昧」
オ 「破戒」
問5.この本文の作者の著作「鼻」を絶賛した人物の名前を漢字で正しく答
えなさい。
【読解問題】
問6.傍線部①「『下人が雨やみを待っていた。』というよりも、『雨に降
り込められた下人が、行き所がなくて、途方に暮れていた。』というほ
うが、適当である」とありますが、その理由として最も適当な部分を文
中から「~から」に続くように二十字で探し、最初の五字を抜き出して
答えなさい。
間7.傍線部②「とりとめもない考え」の説明として最も適当なものを次か
ら選び、記号で答えなさい。
ア どうして暇をもらってしまったのかということ
イ 盗人になることを選ぶかどうかということ
ウ 飢え死にをしないためにどうするかということ
エ 明日の暮らしがどうにもならないというこ
問8.傍線部③「この局所」とありますが、これが意味することを文中から
五字で抜き出して答えなさい。
問9.傍線部④「一人の男」、⑤「その男」とありますが、ここで「下人」
と表記されていないことによる効果の説明として最もふさわしいものを
次から選び、記号で答えなさい。
ア 「下人」はあくまで主人を持った者のことなので、暇を出された今
は「男」と表現したほうが現在の状況を的確に伝えることができる。
イ 時間の経過により、「下人」と呼ばれる者から「男」と表現するこ
とで、荒々しさをもった存在に変化したことを暗示することができ
る。
ウ 場面転換の後、客観的な視点で「男」と表現し、一瞬新たな人物の
登場を読者に意識させることで、緊張感をもたせることができる。
エ 物語が進行し、善悪の問題がテーマとなることを予告するために、
「男」と表現することで、普遍的な存在を強調させることができる。
問10.傍線部⑥「ある強い感情」とありますが、これを具体的に述べた部分
を文中から抜き出して答えなさい。
問11.傍線部⑦「それだけですでに許すべからざる悪であった」とあります
が、
1.この説明として最も適当なものを次から選び、記号で答えなさい。
ア なぜ老婆が死人から髪の毛を抜くのか理解できず、理解不能な老婆を
憎む気持ちが自ずと沸いてきたということ。
イ 門の下で盗人になる決心がつかずにいたため、下人にとって老婆の明
らかな悪行は許すことができないということ。
ウ 先ほどまで下人自身も盗人になろうとしていたが、老婆の行為はそれ
を忘れるほどに憎いものであったということ。
エ 老婆が死人の髪の毛を抜く理由は分からないが、常軌を逸した老婆の
行為に突発的な反感を抱いたということ。
2.「許すべからざる悪」と最も意味が近い語句を次から選び、記号で答え
なさい。
ア 功罪 イ 煩悩 ウ 欲望 エ 禁忌
問12.傍線部⑧「後に残ったのは、ただ、ある仕事をして、それが円満に成
就したときの、安らかな得意と満足とがあるばかりである」とあります
が、この説明として最も適当なものを次から選び、記号で答えなさい。
ア 老婆の行為は非倫理的であるにせよ、暴力によってそれを改めさせよ
うとしたことは誤りだったと自省しているということ。
イ 激しい憎悪の対象であった老婆を自分の手で捕えることができ、悪を
懲らしめた自分に誇らしさを感じているということ。
ウ 目の前で悪を働いている老婆の命は、自分次第でどうにでもできると
感じ、圧倒的な優越感に浸っているということ。
エ 人の道に外れる行為をする老婆を捕えることで、人間としての正しさ
を守れた自分自身に満足を感じているということ。
問13.傍線部⑨「今し方この門の下を通りかかった旅の者だ」とあります
が、この発言の意図を説明した次の文の空欄にあてはまる言葉を漢字三
字で考えて答えなさい。
老婆の抱く、下人に対する( )を弱めさせ、行為の理由を聞き出
そうとした。
問14.傍線部⑩「下人は、老婆の答えが存外、平凡なのに失望した」とあり
ますが、この理由を説明した次の文の空欄に入る言葉を文中から八字で
抜き出して答えなさい。
人の寄り付かないはずの羅生門の楼に上がっていたということは
( )と思い、それにふさわしい理由を期待していたから。
問15.傍線部⑪「老婆は、大体こんな意味のことを言った」とあるが、老婆
の弁明の要旨を二点、それぞれ二十字以内で説明しなさい。
問16.傍線部⑫「ある勇気」とあるが、この内容を文中から三十字以上四十
字以内で探し、その最初と最後の五字を答えなさい。
問17.傍線部⑬「下人は嘲るような声で念を押した」とあるが、この時の下
人の心情として最も適当なものを次から選び、記号で答えなさい。
ア 死人の髪を抜くという自分の行為を悪だと認めながら、その一方で下
人の行為をも悪だと批判する老婆の利己主義を嫌悪する思い。
イ 太刀を持つ自分の前でただおびえるだけなのに、死人の髪を抜くとい
う許し難い行為を、飢え死にしないためなどと口先だけで弁解する老婆
の態度を軽蔑する思い。
ウ この老婆から着物を奪うことを決めている自分の決断に気づかず、老
婆自身は生き延びられると思い込んで余裕を見せている姿を憐れむ思
い。
エ 老婆の言ったことはそのまま自分の「引剥ぎ」に口実を与えることに
なり、それが老婆自身も認めざるを得ない論理になっていることへの皮
肉な思い。
問18.傍線部⑭「一足前へ出ると、不意に右の手をにきびから離して」とあ
るが、この表現がこの小説にもたらす効果として最も適当なものを次か
ら選び、記号で答えなさい。
ア 思考から行動への転換を暗示する効果
イ 憎悪から感謝への変化を暗示する効果
ウ 具体から抽象への転換を暗示する効果
エ 生者から死者への変化を暗示する効果
問19.下人の老婆に対する感情の変化を示したものとして最も適当なものを
次から選び、記号で答えなさい。
ア 恐怖と憎悪 →好奇心→失望と後悔→反省→勇気と悪意
イ 恐怖と好奇心→正義感→得意と満足→失望→憎悪と侮蔑
ウ 恐怖と好奇心→正義感→失望と後悔→反省→逆上と諦念
エ 恐怖と憎悪 →好奇心→得意と満足→失望→皮肉と失笑