第6話 労災保険が降りなかった日
少しでも早く帰りたいと考えた私は、なるべく残業せずにすぐ帰れるように仕事を進めるようになった。いつかはこの職場を離れたい。そう願って止まなかった。取敢えず、他の部署へいけないか考えた。しかし、異動申請も毎年出しているが、叶えてもくれない。
もはや会社を辞めることも視野に入るようになった。
それからも増えていく仕事に対して、無理にでも定時に帰れるように急いで仕事をしていた。しかし、早く仕事を進める分、ミスが多くなってきた。 業務量が増えると単純にミスする確率が増える。私は昼休憩も省いて夜遅くまで働いていた。
それでも何とか少しでも仕事を回せるように出来る限り改善を行い、無理にでも一人で解決しようとした。
これが仇となり、再び私の心身が壊れていく。
とある休日出勤の日。私は一箱20キロの貨物を100ケースぐらい積み下ろし、積み上げ作業を行っていた。
その作業途中で私は貨物を持ち上げようとした瞬間、腰から脳へ稲妻が走った!
あまりの激痛に私はその場で立てなくなった。
ぎっくり腰という奴だ。
毎日夜中まで作業をし、疲労困憊であった私は遂に腰にも限界が来ていたようだ。
この日、すぐに病院へ行く。土曜にやっているところが周辺で1軒しかなく、そこに行くことにした。 整体で腰をもんでもらうが、あまりよくはならなかった。
頑張って自力で車に乗り、帰宅するが、ドアを開けるまでかなり時間を要した。
自宅で養生していたが、月曜までには治りきらず、それでも出社することにした。
ここで良くなかったのが、責任感で会社へ行ったことだ。
行く必要は無いはずだが、それでも他にやってくれる人がいないため、私が行くことになった。 何とか業務は回り、その場をやり過ごす。二週間ぐらいして、やっと腰が良くなっていった。
しかし、ここからまた納得のいかない出来事が起きる。
業務中に起きた事故なので、労災として処理するはずだったが、それをもみ消したいが故に健康保険で処理するように指示された。
労災とは認められず、健康保険で自腹で支払う。今思えば会社としてアウトだ。
この時の私は会社に洗脳されていた上、心身ともに弱っていたことから断ることができなかった。
これは自業自得であり、会社としても私としてもアウトだ。
そして上司や同僚からは笑いながら暴言を吐かれる。
「わざと腰痛いフリをしているだろう」
以前にも同じようなことを言われたが、 この言葉は流石に頭が来た。本来ここで殴りたかったぐらいだ。
しかし、腰痛もあれば心に余裕が無く、殴る気力も訴える気力も無かった。
冷静に考えてもうこいつ等と一緒に働くのはやめようと誓った。
一番の解決策はそいつ等から離れることだ。 取敢えず、この会社から離れたい。そう願っていた。
この日を堺に私は会社脱出を目標に行動を起こしていった。
次回へ続く。
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