近畿大学 図書館司書 『図書館情報資源概論』合格レポート 2024年4月入学
【設題】
公共図書館が収集するネットワーク情報資源の種類や特徴、提供事例について述べてください。また、若い世代に対して情報資源の利用をどのように広報・PRしていくべきかあなた自身の考えを含め、論じてください。
【レポート】(2,100字)
1.序論
図書館が収集する情報資源には図書などの出版物の他、様々な種類がある。特に情報技術の発展により、ますます多岐にわたっている。本論では公共図書館が収集するネットワーク情報資源について述べ、結論でデジタルネイティブ世代と呼ばれる現代の若い世代に対しての情報資源利用の促進について考察する。
2.本論
公共図書館が収集するネットワーク情報資源には、電子書籍、音楽・音声アーカイブ、電子図書館・デジタルアーカイブ、図書館向けデジタル化資料送信サービス、商用データベースなどがあり、それぞれ特徴や提供事例などを挙げる。
(1)電子書籍
図書館の電子書籍とは、文章や画像がデジタル形式で作成されていて、インターネットを介してコンピューターや携帯電話の画面に表示して読むタイプの本のことであり、非来館型サービスとして、ネットワークを介しての電子書籍を貸出される。(馬場,P85)
2020年の新型コロナウイルス感染拡大による休館などにより普及が進み、電子出版制作・流通協議会によると、2023年10月1日時点で電子書籍サービスを導入した自治体は520自治体、自治体全体で29.1%、政令指定都市での導入率は85%である
(2)音楽・音声アーカイブ
音楽・音声アーカイブは、国立国会図書館で提供される「歴史的音源」であれば、参加公共図書館で聞くことが可能である。また、ナクソス・ミュージック・ライブラリーが提供する音楽配信サービスは、CDや図書と同様に期限付きで貸出(利用権限の付与)ができる。(岸田,P52)
2008年2月に岐阜市立図書館が初めて導入し、2009年4月には、千代田区立図書館は貸出期間を設けない方式でのNMLの提供を開始している。(日経THECH、「ネットを使った図書館の新サービス」)
(3)電子図書館・デジタルアーカイブ
電子図書館では、図書館向けの電子書籍をストリーミング方式で貸出するシステムであり、公立図書館では自治体が発行した地域資料や貴重な資料をデジタル化して閲覧できるようになっているところもある。(吉井,P58)デジタルアーカイブとは、重要文書記録や文化資源の情報を長期保存することを目的としてデジタル化することである。
事例として2022年8月から長野県と市町村による協働電子図書館サービス「デジとしょ信州」を運営している。県内の市町村に在住、在勤・在学者なら利用でき、読み物やビジネスなどの実用書、児童図書・絵本、洋書、青空文庫などが含まれている。(吉井,P60)
(4)図書館向けデジタル化資料送信サービス
国立国会図書館が承認した図書館内で、国立国会図書館がデジタル化した資料で入手困難な資料を閲覧利用できるものである。ここでの入手困難な資料とは絶版などの理由で出版社や書店になく、オンデマンド出版などの商業的に出版されていないものを対象としている。複写については、著作権法で認められた範囲内の複写であることを図書館員が確認した上で印刷される。(国立国会図書館ホームページ>資料・情報の利用>図書館向けデジタル化資料送信サービス)
(5)商用データベース
商用データベースはインターネットを通して利用できる有料データベースのことで、図書館が契約している場合は、図書館利用者は無料である。
長崎市立図書館では、「日経テレコン21」、「朝日新聞クロスサーチ」、「Japan knowledge Lib」、「医中誌Web」と幅広く分野を来館者は閲覧することができる。(吉井,P65)
3.結論
本論では公共図書館が収集するネットワーク情報資源について挙げたが、若い世代では図書館自体の利用が少ない。株式会社アクセスセキュリティによる16~30歳の1,005人を対象に2022年7月に実施された図書館の利用実態調査では、図書館の利用頻度では65.6%が年数回程度と回答し、図書館の利用目的で調べものをするためは31.2%に留まっている。
インターネットによって情報がすぐに入手できる現代では、正しい情報とそうでない情報の見極めが難しい。そのため図書館が正しい情報へアクセスできる情報センターとして利用し、図書館の情報資源を活用するために広報・PRを強化することが必要である。先述した図書館の利用実態調査で、図書館利用時に読む本(複数回答可)では、小説が65.4%に対して、資料各種、学術書、雑誌/新聞類、ビジネス書は20%前後である。
図書館における情報資源活用に関して、広報内容は①図書館のネットワーク情報資源は多岐にわたること、②デジタル上と来館それぞれでできることと各メリットを伝え、PR手段としては①InstagramやX等のSNS、②イベントやワークショップの開催、③教育機関やコミュニティとの連携を提案する。 まずは図書館を利用するきっかけを作り出し、情報資源の有用性や情報探索法を伝えることがさらなる図書館の情報資源の活用促進につながると考える。
【参考文献】
吉井 潤、『事例で学ぶ図書館情報資源概論』、青弓社、2023.8.24
岸田 和明編著、小山 憲司ほか著、『改訂 図書館情報資源概論』、樹村房、2020.3.26
馬場 俊明編著、『図書館情報資源概論 新訂版』(JLA図書館情報学テキストシリーズⅢ:8)、日本図書館協会、2018.11.20
藤原 是明編著、『図書館情報資源概論 人を育てる情報資源のとらえかた』、ミネルヴァ書房、2018.9.10
宮沢厚雄、『図書館情報資源概論 新訂第4版』、理想社、2018.3.31
電子出版制作・流通協議会ホームページ>『2023年10月01日 電子図書館を導入している公共図書館情報を更新』
国立国会図書館ホームページ、ホーム>資料・情報の利用>図書館向けデジタル化資料送信サービス
【講評】
全体的にポイントを押さえて記述できていますが、内容は一般的です。PRについて、SNSを挙げていますが、若い世代がどうしたら図書館に来館してもらえるのか、内容にもう少し深みがあれば良いでしょう。
【感想】
事例を挙げるようなレポートになるとどうしても文字数が多くなってしまい、提出できるギリギリの2,100字に収めるのが大変でした。
参考文献で『事例で学ぶ図書館情報資源概論』が役立ちました。図書館情報資源特論や、科目週末試験でも図書館で借りて使用したのでおすすめです。
また、この科目はレポート返却日数がかかることで他の方のブログでも書かれていて、実際に35日かかりました。
【返却日数】
35日 4/1提出・5/6合格
※注意
レポートの丸写しはしないようにお願いいたします。
皆さんの参考になれば幸いです。
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