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日本怪獣出現史③~『悪魔くん』ペロリゴンから『ウルトラマン』シーボーズまで
久々に、「日本怪獣出現史」の第三弾をお届けします。
今回は1966年11月から1967年3月上旬までの、まさしく怪獣ブーム、怪獣図鑑的充実期に登場した、28体の巨大怪獣を紹介したいと思います。
○1966年11月3日 ペロリゴン(『悪魔くん』)
○1966年11月6日 ブルトン(『ウルトラマン』)
○1966年11月7日 ドロックス(『マグマ大使』)
○1966年11月13日 ザラブ星人(『ウルトラマン』)
○1966年11月20日 アボラス&バニラ(『ウルトラマン』)
○1966年11月27日 ヒドラ(『ウルトラマン』)
○1966年11月28日 ストップゴン(『マグマ大使』)
○1966年12月4日 ケムラー(『ウルトラマン』)
○1966年12月11日 テレスドン(『ウルトラマン』)
○1966年12月17日 エビラ(『南海の大決闘』)
○1966年12月18日 ジャミラ(『ウルトラマン』)
○1966年12月19日 ダコーダ(『マグマ大使』)
○1966年12月25日 グビラ(『ウルトラマン』)
○1966年12月26日 ブラックジャイアント(『マグマ大使』)
○1967年1月1日 ドラコ(『ウルトラマン』)
○1967年1月1日 ギガス(『ウルトラマン』)
○1967年1月4日 イモラ(『快獣ブースカ』)
○1967年1月8日 ゴモラ(『ウルトラマン』)
○1967年1月16日 テラバーデン(『マグマ大使』)
○1967年1月19日 モルゴン(『悪魔くん』)
○1967年1月22日 ダダ(『ウルトラマン』)
○1967年1月29日 ゴルドン(『ウルトラマン』)
○1967年2月5日 ウー(『ウルトラマン』)
○1967年2月12日 ケロニア(『ウルトラマン』)
○1967年2月13日 ピドラ(『マグマ大使』)
○1967年2月19日 ザンボラー(『ウルトラマン』)
○1967年2月26日 メフィラス星人(『ウルトラマン』)
○1967年3月5日 スカイドン(『ウルトラマン』)
○1967年3月12日 シーボーズ(『ウルトラマン』)
・・・ということで、まさしく『ウルトラマン』最盛期の怪獣たちがスラリと並ぶラインナップとなっております。
よくもこれだけの怪獣たちを、「毎週放送のレギュラー番組用」に作れたものだと、その創造力の凄さに、驚嘆するばかりです。
9話~15話あたりは、作品内容も怪獣造型的にも、やや停滞の部分はあったのですが・・・16話のバルタン星人再登場編で鞭が入ると、四次元怪獣という異色のブルトン、強敵のザラブ星人、アボラス、ケムラーを登場させつつ、実相寺演出によるダークサスペンスなテレスドン編、科学開発の代償を描いたジャミラ編と、娯楽作、問題作をつるべ打ちし、『ウルトラマン』を、人気番組にして名作という位置に押し上げます。
年が明けての第3クールもさらに勢いは加速し、レッドキングとドラコ、ギガスの3大怪獣勢揃い、古代怪獣ゴモラを描いた前後編と、大娯楽作を並べ、ダダ、ウーという人気キャラも登場させ、宇宙人のボス格メフィラス星人、実相寺演出のスカイドン、シーボーズ編と、さらなる充実を見せます。
しかしさすがに、この驚異的な生産能力にも限界があり、製作が放送に追いつかなくなった『ウルトラマン』は、4月での終了が決定してしまうのですが・・・
思えばこの時期は、テレビ史上、いや日本文化史上、二度とない「怪獣黄金期」だったと・・・これは後になってわかることでしたが、確実にそう言えると思います。
もしこのまま『ウルトラマン』の放送が継続していたら、さらにどんな怪獣が現れたか・・・と残念に思うことはあるのですが。これ以降の最終4話を見ると、やはりこのへんが怪獣のアイディア的にも限界点だっとのかな、という気もしています(次回に詳しく述べます)。
さて、『ウルトラマン』と比べて地味に思われがちな『マグマ大使』ですが、この時期に登場したダコーダという怪獣は、デザイン的にも能力的にも、なかなか魅力的でしたね。
口からミクロン人間や巨人人間を吐き出して地球を混乱させるという能力は、ゴアの侵略兵器ならではの設定で、魅力がありました。
『マグマ大使』の怪獣は、世界に感染病を流行らせるなど、その被害能力は、ウルトラ怪獣以上に甚大でしたね。
ピドラもそうした怪獣でしたが、山本直純氏の気宇壮大な音楽が実にマッチしていて、忘れ難い印象でした。
さてそんな時期に唯一登場した、東宝怪獣のエビラですが・・・映画の題材的に仕方ないとはいえ、やはり「ただの大きなエビ」というのは、ウルトラ怪獣と比べたら、明らかにインパクト不足でした。
怪獣というクリエイティブは東宝から出発したのですが、『Q』を経た『マン』によって、その旗手の座は、円谷プロに渡ったことが、明らかになった感じです。
ブルトンやダダが象徴的ですが、デザインのコンセプトに、現存する生物や伝説の怪物以外のモチーフ・・・現代アートを含む・・・を持ち込めたかどうかが、差になってきたと思います。
『ウルトラマン』は中盤以降、宇宙怪獣、宇宙人の登場が多くなり、その分デザインに自由度が増したことも大きいと思いますが。
ということで、次回はいよいよ『ウルトラマン』の最終回前後をご紹介することになるでしょう・・・