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日本怪獣出現史④~『マグマ大使』サソギラスから『キャプテンウルトラ』シャモラーまで


日本怪獣出現史(クロニクル)の第4弾をお届けします。
今回はいよいよ『ウルトラマン』の最終盤&劇場用の怪獣映画ラッシュという、まさに怪獣ブームのピークとなった1967年3月から、一転して円谷怪獣の空白期となってしまった8月までに登場した、31体を紹介したいと思います。


〇1967年3月13日サソギラス(『マグマ大使』)

〇1967年3月15日ギャオス(『ガメラ対ギャオス』)

〇1967年3月19日ザラガス(『ウルトラマン』)

〇1967年3月25日ギララ(『宇宙大怪獣ギララ』)

〇1967年3月26日ジェロニモン(『ウルトラマン』)

〇1967年3月27日グラニア(『マグマ大使』)

〇1967年4月2日キーラ(『ウルトラマン』)

〇1967年4月2日サイゴ(『ウルトラマン』)

〇1967年4月5日千年蟇(『仮面の忍者赤影』)

〇1967年4月9日ゼットン(『ウルトラマン』)

〇1967年4月10日バルザス(『マグマ大使』)

〇1967年4月16日バンデラー(『キャプテンウルトラ』)

〇1967年4月22日ガッパ(『大巨獣ガッパ』)

〇1967年4月24日ジギラ(『マグマ大使』)

〇1967年4月30日ガルバン(『キャプテンウルトラ』)

〇1967年5月7日ブルコング(『キャプテンウルトラ』)

〇1967年5月8日海坊主(『マグマ大使』)

〇1967年5月10日金目像(『仮面の忍者赤影』)

〇1967年5月14日バンデル巨人(『キャプテンウルトラ』)

〇1967年5月22日カニックス(『マグマ大使』)

〇1967年6月5日キンドラ(『マグマ大使』)

〇1967年6月19日ゴアゴンゴン(『マグマ大使』)

〇1967年7月9日ゴースラー(『キャプテンウルトラ』)

〇1967年7月22日メカニコング(『キングコングの逆襲』)

〇1967年7月22日ゴロザウルス(『キングコングの逆襲』)

〇1967年7月23日ジャイアン(『キャプテンウルトラ』)

〇1967年7月30日アメゴン(『キャプテンウルトラ』)

〇1967年8月6日バクトン(『キャプテンウルトラ』)

〇1967年8月13日キュドラー(『キャプテンウルトラ』)

〇1967年8月20日ウルゴン(『キャプテンウルトラ』)

〇1967年8月27日シャモラー(『キャプテンウルトラ』)


・・・ということで、『ウルトラマン』が視聴率42%を記録して絶頂を極めながら、製作上の理由で放送終了となり、秋まで円谷のウルトラシリーズが休止となる、「頂点から小康状態へ」という時代の、怪獣リストでした。

放送終盤となった『ウルトラマン』は、「攻撃するたびに強くなる」ザラガス、「60匹の怪獣のリーダー」ジェロニモン、「ウルトラマンのスペシウム、八つ裂き光輪が効かない」キーラと、それまでと違い、「強さ」それ自体を存在理由にした怪獣のラッシュとなりました(これは、怪獣のアイディアが出尽くした部分もあったのかも知れませんが)

その頂点が、最終回に登場したゼットンで、これはズバリ「ウルトラマンより強い」ことが属性となっている、怪獣でした。
メタ的に言えば「ウルトラマンを倒して、『ウルトラマン』という番組を終わらせる」ことを使命とした怪獣で、ウルトラマンの必殺技を、まるで儀式のように一つ一つ破っていき、逃げ場を絶った上で、冷静に止めを刺しました。何かまるで、死神のような運命的な存在に見えましたね。
(主人公より強い敵役というと、『鉄人28号』におけるブラックオックスという先例があったのですが、黒を基調としたデザインなど、共通性を感じました)

何故このような最終回になったのかは不明ですが、大人気番組である『ウルトラマン』を急遽終わらせるには、「強い怪獣を出して強制終了させる」しかなかったのかもしれません。
いずれにしても『ウルトラマン』最終回のインパクトは大きく、後番組となった東映製作の『キャプテンウルトラ』は、苦戦を強いられました。
ウルトラマンとゼットンの戦いを見た翌週にバンデラーを見ても、テンションが上がるはずもなく、しかもバンデル星人編では、怪獣自体の登場も少なかったのです。

一方、ライバルであった『マグマ大使』の方は、『ウルトラマン』の終盤と重なった3月には、なかなかの盛り上がりを見せました。
怪獣サソギラスの毒ガスによってマモル少年が狂ったり、ゴアがMM団と共謀して水爆を奪い、怪獣グラニアに背負わせて発射を試みるなど、番組最高の緊張感を見せていましたね。
『ウルトラマン』終了後も放送は継続され、怪獣の登場も2週に1度のペースに早められましたが、番組的には、それまでの「4話完結」の方がテンションが高かった気がしますね。
(ただカニックスが新宿西口前を襲うミニチュア特撮などは、見ごたえがありました)

最終回ではゴアが怪獣ゴアゴンゴンの正体を現し、マグマ大使と最終決戦をします。
このゴアゴンゴン、背丈もあり、絶対零度の冷凍光線という武器もあり、邪悪な雰囲気もあって、無機質なゼットンとは違う意味でラスボス感もあったのですが、初戦以後はスタミナ切れでどんどん弱体化してしまったのが残念でした。

さて、『マグマ大使』の放送終了と入れ替わるように、『キャプテンウルトラ』が「新怪獣ぞくぞくシリーズ」が始まります。
これは視聴率の低下を受けての措置ですが、「まぼろし怪獣ゴースラー」や「吸血怪獣キュドラ」といったホラー・タッチの作品が多くなり、これはこれで東映ならではの趣向として、見ごたえがありましたね。

そして4月から放送されていた『仮面の忍者赤影』ですが、この時期はまだ
本格怪獣路線は取っていません。
しかしながら、第一部に登場する金目像のインパクトは、かなりのものがありましたね。金目教を信じぬ者に、目から怪光線を発して「仏罰」を与える、というのが恐ろしかったし、特撮にも迫力がありました。

さて1967年は映画界でも怪獣映画製作ブームとなった年ですが、松竹の『ギララ』も日活の『ガッパ』も、中途半端の印象は拭えませんでした。
そんな中で大映の『大怪獣空中決戦・ガメラ対ギャオス』は、怪獣対決映画としては、大傑作となりましたね。
何といっても、夜行性で、両翼を広げて夜の街を破壊するギャオスの魔獣性が素晴らしい。名古屋上空でのガメラとの空中戦は、東宝の怪獣モノとは別種のケレン味にあふれていました。

その東宝が7月に公開した『キングコングの逆襲』も、007のスパイ要素を加えた冒険怪獣映画として、見ごたえがありました。
メカニコングはメカゴジラに先立つロボットキャラとして秀逸でしたし、コングとの東京タワーによじ登っての決戦は、高所恐怖症的にゾクゾクする名場面でした。さらに恐竜的リアリティが追及されたゴロザウルスも、見ごたえがありましたね。

・・・ということでこの時期は、『ウルトラマン』放送終了となり、本命円谷の不在によって、怪獣ブームが頂点から峠を越したところに向かいつつも、各社の作品がつないでつないで、どうにかブームの雰囲気を維持した時期、といえるのではないでしょうかね。
そうしていよいよ10月からは円谷プロの新ウルトラシリーズ『ウルトラセブン』が、満を持して登場するわけですが、それはまた次回ということで、
今回はこのあたりで。







つないだ














置き土産

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