大谷翔平を歴代ホームラン打者と比較する
大谷翔平がナ・リーグのMVPを受賞しました。
今年の大谷は50-50という前人未到の大記録が話題になりましたが、私は単純に「54本」というホームラン数にインパクトを受けました。日本のプロ野球で長年アンタッチャブルの記録だった王貞治のシーズン55本に迫る数字ですからね。それを日本のNPBよりレベルの高いMLBで成し遂げたというのは、どれだけの高みかと。
これで大谷翔平は、この4年間で46本、34本、44本、54本と計178本のホームランを打ったことになります。この数字って、歴代のホームラン打者と比較すると、どれだけの重みがあるんでしょうか。
今回はそれを検証してみたいと思います。
27歳~30歳で打ったホームラン数の比較(日本人編)
まずは、この4年間の大谷翔平と同年齢時(27~30歳)に、歴代のホームラン打者がどれだけの数字を残しているか、比較してみたいと思います。
まずは日本人打者(王貞治を含む)で、通算ホームラン数のベスト20に入った選手(丁度400本以上のホームランを打った選手になります)の、この期間のホームラン数を見てみます。
王貞治 187本
野村克也 179本
大谷翔平 178本
田淵幸一 164本
中村紀洋 150本
松井秀喜 133本
秋山幸二 132本
清原和博 114本
長嶋茂雄 111本
土井正博 110本
大杉勝男 109本
張本勲 106本
落合博満 105本
金本知憲 104本
衣笠幸雄 104本
山崎武司 101本
山本浩二 100本
阿部慎之助 99本
門田博光 81本
何とというか、当然というか、大谷のこの4年間のホームラン数は、王、野村以外の全ての日本人打者を上回っているのです。しかも、より難度の高いMLBでの数字というハンディを背負って、です。
たとえば松井秀喜は、日本で27歳のシーズンに36本、28歳に50本のホームランを打ちましたが、MLBに転出した29歳時は16本、30歳では31本と、数字を落としています。そんな中で大谷は、その壁をものともせず、王貞治に迫るホームラン数を記録している。天性のホームランバッターと言われた田淵を越え、清原なんかは足元にも寄せ付けていない。それが投手兼任の男の記録なんですから、もうこの時点で驚異という感じですが。
27~30歳時に打ったホームラン数の比較(MLB選手編)
同じ比較を、今度はMLBの通算ホームラン数ベスト20の選手としてみましょう(20位に同数があるので22選手になります)。正直こちらの方は驚異を通り越して、ショックというか、恐怖ですらありました。
ケン・グリフィー・ジュニア 209本
アレックス・ロドリゲス 188本
サミー・ソーサ 178本
大谷翔平 178本
ミッキー・マントル 167本
ハーモン・キルブリュー 158本
アルバート・プホルス 158本
ジミー・フォックス 157本
マニー・ラミレス 156本
ベーブ・ルース 147本
ハンク・アーロン 147本
フランク・トーマス 144本
バリー・ボンズ 142本
マイク・シュミット 142本
ウイリー・マッコビー 142本
ジム・トーミ 140本
デヴィッド・オルティーズ 139本
ウイリー・メイズ 132本
レジー・ジャクソン 124本
フランク・ロビンソン 122本
マーク・マグワイア 112本
ラフェエル・パルメイロ 108本
テッド・ウイリアムズ 95本
(参考)アーロン・ジャッジ 137本
何と、この期間の大谷のホームラン数は、MLB上位22選手と比較しても、あのサミー・ソーサと並んで3位なのです!
バリー・ボンズ、ハンク・アーロン、そしてあのベーブ・ルースという、通算700ホームラン以上を打ったスーパー・レジェンドをも、完全に上回っている。ミッキー・マントルやウイリー・メイズ、レジー・ジャクソンなんて、伝説に聞くような選手も寄せつけていない。マーク・マグワイアしかり。参考に付け加えたアーロンジャッジも、この期間の比較では、大谷に到底及ばないのです。
つまるところ大谷は「日本人として」などというレベルではなく、MLB史上にも稀な、超ド級のホームラン・バッターに位置付けられる選手なのです(繰り返しますが、それでいて彼は投手でもあるのです!)。
30歳時までの通算ホームラン数比較(MLB選手編)
それでは最後に、4年間に限定しない、30歳までの通算ホームラン数でMLB選手と比較してみましょう(ただし大谷選手のみ、日米の合算記録とさせていただきます)。
アレックス・ロドリゲス 429本
アルバート・プホルス 408本
ケン・グリフィー・ジュニア 398本
ジミー・フォックス 379本
ハンク・アーロン 366本
ハーモン・キルブリュー 336本
フランク・ロビンソン 324本
ウイリー・メイズ 319本
マニー・ラミレス 310本
ベーブ・ルース 309本
フランク・トーマス 286本
レジー・ジャクソン 281本
サミー・ソーサ 277本
大谷翔平 273本
ウイリー・マッコビー 268本
バリー・ボンズ 259本
マイク・シュミット 235本
ジム・トーミ 233本
マーク・マグワイア 229本
テッド・ウイリアムズ 222本
デビッド・オルティーズ 177本
ラフェエル・パルメイロ 155本
(参考)アーロン・ジャッジ 220本
さすがにまだ打席数自体が少なかった日本時代、まだ身体が細かったMLB初期時代からの通算となると、順位は後退しますが、それでもソーサと互角、ボンズを越えているのですから、大したものです。
MLBのホームラン数のみに限定しても225本で、これはマグワイアの229本と同レベルです。今のペースでホームランを打ち続けられれば、通算でも、MLBの上位にランクされることになりそうです。
ということで、時々「大谷翔平は騒がれすぎ」という声もありますが、この数字を見ると、いくら騒いでも騒がれすぎということはない、日本野球空前の選手である、ということが言えそうです。