OZAWAに感じた「色気」~NOAH後楽園大会観戦記
昨日1月11日、NOAH後楽園ホール大会を観戦してきました。目的はもちろん、OZAWA選手を見て、その魅力を生で体感することでした。
会場に着くと、試合開始1時間前にチケットは全席完売。場内に入ると、
すでにOZAWAへの期待感で熱気に溢れかえっていて、これまでのNOAH会場のまったりした雰囲気とは、全然違っていましたね。
ということで会場は第一試合から湧きっぱなしで、選手もそれに乗っかって、それぞれの個性を発揮していました。
興行に「目玉選手の存在」という芯が入ると、他の選手たちも光ってくるのでしょう。これまでのノアは求心力のある選手がいなかったから、みんな頑張っていても、散漫な印象になっていたのかもしれません。
そうしていよいよ、第七試合で、OZAWA選手が登場し、拳王選手とのシングルマッチでの対戦となりました。
OZAWAが入場してくると、登場からリングイン、試合まで、彼の所作の一つ一つが個性的で、観客の視線を釘付けにしていましたね。
蹴りこんでくる拳王に「危ないじゃねえか」といなす呼吸も見事で、しかも
それが従来の悪役のいなし方とも違う。変に人間的なのです。
そうかと思うと、突然バシッと、超絶的な技を繰り出すので、その緩急には、見ていて中毒性になるようなものがありましたね。
なのでこの日も観客はOZAWAコール、拳王にブーイングで、清宮戦と同じ図式に、自然となってしまいました。ヒールという役割からはみ出した、OZAWAのライブ・パフォーマンス力に、グイグイ引き込まれてしまうんですね。
試合は結局TEAM2000Xの乱入によりノーコンテストとなりました。まあ今のところ、拳王もOZAWAの持ち味につきあっている部分もあり、今後、真正面からの打撃戦、グラウンド戦に持ち込まれた時にはどう対応するか、といった課題もある気もしましたが・・・
それを置いても、OZAWAの存在感というか、他のノアの選手にはない「色気」みたいなものの発散ぶりには、素晴らしいものがありましたね。
この日初めてプロレスを見たという村山優香さんという女優が、Xに投稿しているんですよ。
初めてプロレスを見た女性が、つまりノアに何の先入観もない女性が、最も印象に残したのが、OZAWA選手だったわけですよ。
これって、実は、かなり重大なポイントのような気がするのですね。
思えば、それまで「清宮推し」できていたはずのまつきりなさんが、急に
OZAWAの話題でニヤニヤするようになったじゃないですかw
これはもしかしたら、棚橋やオカダ、内藤がブレイクした時と、同じ現象が、OZAWAで起こり始めているのではないかと・・・
新日本プロレスブームを牽引したのは、従来からの男性ファンではなく、いわゆる「プロレス女子」たちでしたね。
男性ファン・・・特に昭和からのファンには、「強さが感じられない」という、冷めた意見もあったと思います。
しかし現実に、会場にお金を払って見に来る女性ファンは増えたわけで・・・彼女たちが何を求めていたかといえば、「強さ」ではなくて、ごくごく単純に言って「男性としての魅力=カッコよさ、色気」だったと思うんですね。それを会場で味わいたいという欲求です。
OZWAWAにも、何かそういうものが備わっている気がするです。OZAWAより実力は上かもしれない、従来のノア選手にはなかったものが。
試合内容では他団体に遜色ないはずのノアが、今ひとつ観客動員で劣っていたのは、実は「金を払っても、その選手のオーラを浴びてみたい」と思わせる選手がいなかったからではないでしょうか。清宮もいい選手だけど、真っ正直な書生気質で、ワイルドとかクールとかいう、男性としてのニュアンスの魅力には欠けていましたからね。
しかしここに来て、ノアはOZAWAという決定的な人材を得たわけです。
彼には、棚橋やオカダや内藤だけが持っていた色気・・・あるいは「ムード」が、備わっている気がします。
(それについては、今のところ新日本の次世代選手たちより上でしょう)
彼によってノアの風景が、いやプロレス業界全体の風景が、どこまで変わるか・・・そんな期待が、ますます高まりましたね。
さてそのように「OZAWA」「OZAWA」に終始した後楽園大会ですが、全く新しいノアを見た印象がある一方で、僕はどこかで「昭和全日本プロレス」に共通するようなムードも、感じたのです。
何でかなあと思い返すと、外国人選手の出場が7名と多かったこと。わけても、大型選手がいたことが大きかったように思います。
身長221センチという、アンドレ・ザ・ジャイアント級のオモスを始め、
203センチのサクソン・ハックスリー、190センチのガレノと揃っていましたからね。
80年代、僕は後楽園ホールで、全日本プロレスを何度も観戦しているのですが、その時見たスタン・ハンセンやブルーザー・ブロディ・・・とまではいかないにせよ、クラッシャー・ブラックウェルやワンマン・ギャング、あるいはダニー・スパイビーくらいの迫力は十分にあって。
ノアは外国人選手が手薄な時代もあったけど、ここにきて、そちらの方もだいぶ改善してきた印象でした。
そういう視点で見ると、OZAWAのように、天性のアドリブ的なセンスを持って、ヒールなのに、観客の声援を集めてしまう選手が、かつての全日本プロレスにも、存在していた記憶があるんですよ。
誰かと思って思い出してみると、アブドーラ・ザ・ブッチャーでしたね。
ブッチャーがジャンボ鶴田あたりと試合すると、みんなブッチャーを応援していたことを、思い出しました
(するとやっぱり、当時の鶴田が、今の清宮なのかと思ったりして・・・)
ずうっとプロレスを見てると、ちがう時代なのに景色が重なる瞬間もあって、そういうところも楽しかったですね。