栄井 大誓
超短編小説【才能】
一人の男の才能と苦悩。
家族の在り方と成長
コーヒータイム 「ブレンド一つ。」 木目のテーブル、赤い椅子、タバコにコーヒー、古本が、混じったようなこの香り。 実家の隣の喫茶店。 ここでの一杯が1日の始まりを告げる。 僕はコーヒーを飲む時、決まって考え事をするんだ。 これをコーヒータイムと呼んでいる。 今日はタバコについて考える。 草を詰めて、火をつけ、吸う。 なんだこれ、そもそもなんで、初代喫煙者は草を燃やして、その煙を吸おうとしたんだ。 米ならわかる、育て
私は泣き虫だ。 春になると、ホーホケキョ。 夏が来ると、ミンミンミン。 秋が近づく、リンリンリン。 冬はもぐり、一人なく。 こうすれば、もう、ぱぱにも叱られないよね。 おわり。 泣きたくても泣けない、誰にも迷惑をかけたくないと思ったことはありますか。 それは、あなたが優しすぎるから、どんなに辛くても周りが見えてる証。 泣き顔を晒せる相手ほどあなたにとって大切な人。
プルルルル、プルルルル。 「こんにちわー。お忙しい中すみません。私、株式会社rinneの武田と申します。ご連絡が遅くなりましたが、あなたの寿命は本日17時24分限りですので宜しくお願い致します。」 はい? 「また、お迎えにあがりますので。」 おい、こっちは仕事中なんだ迷惑電話ならよそでやってくれ。 「皆さんよくそれを仰います。私どもはいわゆる死神と呼ばれるものでして、近頃忙しくて連絡が遅くなりましたことお詫び申し上げます。」 そうじゃない、俺が今日死
才能 生まれつきガタイも良かった。 小学生、サッカーにバスケットボール。 中学生、バレーボールに水泳、生徒会長。 高校生、硬式テニスにバドミントン、卓球、剣道。 才能ってなんだろう。 小学生の頃から薄々自分が器用貧乏だとは感じていた。 大抵のことは1月もあれば経験者に追いつく。 楽しくない、勉強にスポーツ、絵に歌声、側から見れば才能豊かに感じるのだろう。 確かに、そうかも知れないが私の眼は息をしていなかった。 どこか
母さんのお腹が大きくなった。 僕は一人っ子だ。 4年生、兄妹を羨ましがったりはしなかった。 だってもう慣れてる、むしろ兄妹がいる方が不自然に思う。 学校に友達もいるし、家でゲームもできる。 母は働き詰めだけど、寂しいなんて感じることも、もうない。 2月はまだまだ寒い。 帰って早くゲームでもしよう。 僕は一人だ。 母さんが入院した。 ご飯はカレーだけ作れるようになった。 家に一人だけど祖父母が会いにきてくれる。 母さんのお見舞いも