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夢を叶えた人たちは、なぜ共通して「誇大妄想」を抱いているのか

夢を叶えた人たちは、共通して「そんなことは無理だ」と言われるような壮大な夢を思い描いている。作家の本田健氏は「自分がなりたい姿をイメージすれば自動的に夢は叶う。それは脳の仕組みを考えればよくわかる」という——。


本田宗一郎は、先に未来を決めていた


新しい一歩を踏み出そうというときジャマをするのが、過去の記憶です。

「親があの程度だから、自分もその程度」
「有名大学を出たわけでもないのに、出世なんかできっこない」
「こんな弱気な性格じゃ、どうせ無理」

そんな理由で、尻込みしている人はいませんか?

「過去がこうだったから、未来もこう」と、過去の延長線上に未来を見て、自分で自分の限界を決めつけているのです。

だから、夢を描こうとしても「どうせ不可能でしょ」と否定してしまいます。

時間の流れの概念を、変えてみてはどうでしょう。

時間は、普通「過去→現在→未来」へ流れると考えられています。

けれど、「たった今このページを読んでいるあなた」は、次の瞬間にはもう過去です。

ということは、現在のあなたの行動が過去をつくっているのであって、過去が現在のあなたをつくっているわけではありません。

だとしたら、こう考えられませんか?

時間は「未来→現在→過去」と流れているのだ、と。


過去はすでに遠ざかったものですから、それに縛られる必要はありません。

ネガティブな過去にとらわれて、劣等感を持つ必要もありません。

未来にはたくさんの可能性があり、どうなりたいかはあなたの選び放題です。

そして、自分が思う最高の未来を設定しさえすれば、時間はそこから逆走し、今のあなたを自動的に変えてくれるのです。なぜなら、未来を先に決めることで、そのために今何をすべきかがハッキリとわかるからです。

私はこれを「未来逆算で生きる」と呼んでいます。

たとえば本田宗一郎氏は、貧しい鍛冶職人の家に生まれ、15歳で自動車修理工場の丁稚でっちになりました。過去が未来をつくるなら、今の“世界のホンダ”は存在しません。

彼が成功したのは、小さな町工場にいながらも、「将来、世界をアッと驚かす」という大きな未来を決めたからなのです。

大切なのは、まず先に未来をしっかり決めることです。「そんなの、妄想だろう」と笑われるぐらい、ありえないほど最高の未来を自由に描きましょう。

脳の仕組みを使って夢を叶える方法


先に未来を決めれば、夢が叶うだって?

そんなうまい話があるかと、にわかには信じがたいかもしれません。

それを実際に実践し、その方法を体系的に教えてくれたのが、アラン・ピーズ&バーバラ・ピーズ夫妻の著書『自動的に夢がかなっていく ブレイン・プログラミング』でした。

夫妻は、もともとオーストラリアの成功した作家でした。日本でも『話を聞かない男、地図が読めない女』が話題になり、ご存じの方も多いと思います。

夫妻は、何一つ不自由のない生活をしていたのですが、あるとき、信頼していた会計士に全ての財産を騙だましとられ、無一文になってしまいます。けれど、彼らはあきらめませんでした。再び成功するための方法を知っていたからです。

結論からいえば、その方法とは「自分が将来どうなりたいのか、その姿をただイメージする」だけというものです。あとは脳の仕組みを利用することで、夢が自動的に叶うというのです。

過去も未来も現在進行形で存在する


なぜイメージするだけで、夢が叶うのか? 
「ブレイン・プログラミング」の具体的な内容を紹介する前に、まず私なりの解説をしてみたいと思います。

ちょっと目をつぶり、あなたが小さい頃に住んでいた家の記憶をたどってみてください。ほとんどの人が、「ここに台所があって、この廊下の先が自分の勉強部屋で……」など、細かい間取りまで思い出せるはずです。

その家は取り壊されて、今はもうないのかもしれません。

にもかかわらず、鮮明に思い起こせるのです。つまりそれは、現実には今はないものも、脳のなかには現在進行形で存在していることを意味します。

ここで、一つの仮説が立てられます。

過去が現在に存在するということは、未来の姿をイメージすれば、脳のなかでは、未来もまた現在進行形で存在するのではないかということです。

みなさんのなかには、デジャブ(既視感)を経験したことのある方もいるでしょう。

過去に見たことも行ったこともないはずなのに、ある瞬間「以前ここに来たことがある」「この状況は前にもあった」などと感じることです。

そうした既視感も、過去に想像した未来の状況がすでに脳のなかにあり、たまたまその状況が現実化したときに起こる現象ではないでしょうか。

つまり脳には、現実と想像上の出来事、そして過去・現在・未来の出来事を等価なものとして扱う側面があるということです。

たとえば、あなたが「プロジェクトのリーダーとして、素晴らしい仲間たちとワクワクしながら働いている」という未来像をイメージしたとします。
すると脳は、それが現在のことだと思い込み、必要な情報や人脈をキャッチするなど、そのイメージにふさわしい行動を起こします。そうやって未来が現実化するのです。

それはプロゴルファーが、どこへボールを飛ばすか明確にイメージすることで、現実にその通りのショットを打つのとも似ています。

ブレイン・プログラムを実践してみよう


アインシュタインは、かつてこう言いました。

「想像力が全てだ。それは、人生でこれから引き寄せるものの予告編なのだ」と。

そんな想像力と脳のシステムに着目し、誰もが真似できるように法則化したのが、

「ブレイン・プログラム」です。

では、早速その法則の詳しい内容を具体的に見ていきましょう。

脳は「知りたいこと」「見たいこと」だけを選別するという性質があり、
さらに脳は1秒間に、本にして約60万冊分もの膨大な情報にさらされると言われています。

これを全て認識していたら、私たちの脳は間違いなくパンクしてしまうでしょう。

そこであらかじめ脳に備わっているのが、通称RAS(ラス)と呼ばれる神経の集まりです。RASは、脳に流れ込んでくる情報を、その人にとって必要なものと、そうでないものとに振り分けるフィルターのような役割を果たしています。

たとえば空港のロビーのような騒々しい場所にいても、自分の名前がアナウンスされれば、そこだけはちゃんと聞き取れる。まさに、それがRASの働きです。

こんな経験はありませんか?

「青い車を買いたい」と考えていたら、街なかに青い車ばかりが走っているように見えた。あるいは、「犬を飼いたい」と考えていたら、やたらと犬を散歩させている人ばかりが目についた。

偶然だと思うかもしれませんが、そうではありません。こんな現象が起きるのも、RASが必要な情報を見せてくれるからなのです。

夢を叶える理屈も、それと同じです。「営業成績トップになる」でもいいし「家を買う」「年収1000万円になる」でもいい。とにかく自分が何をしたいのか、どうなりたいのかをまず決めます。するとRASが稼働して、それを実現するためのヒントを片っ端から集めてきて見せてくれるのです。

グーグル検索にワードを入力すれば、関連した情報が即座に集まるのと似ています。

「How?(どうやって)」を先に考えてはいけない


RASとは、目的地の住所を入力すれば、そこへ連れていってくれる車のGPSのようなものだと考えるといいでしょう。

必要なのは、まず「What?(何をしたいのか? どうなりたいのか?)」という未来の行き先を明確に決めることです。
「How?(どうやって?)」を考える必要はありません。

GPSを使うときも、大事なのは「どこへ行きたいか」であって、「どのようにすれば行けるか」を考える必要がないのと同じです。

GPSの仕組みを知らなくても、任せれば確実に道案内をしてくれるように、夢や目標にたどり着くためのヒントや情報は、RASが自動的に選別し集めてきてくれるのです。

にもかかわらず、とかく私たちは「How?(どうやって?)」のほうを先に考えがちです。実はそれが、多くの人が夢を実現できない理由です。

たとえば、誰かが成功したら「どうすればあんなことができるんだろう?」とため息まじりに考えてしまいます。
でも、いくら考えてもわからないので、結局、チャレンジすること自体をあきらめてしまうのです。

それにたいていの人は、「How?(どうやって?)」と自問自答をしても、「資格を取る」「貯金する」など、今の自分が想像できる範囲の答えしか思いつきません。だから、想像を超えるようなミラクルを起こせないのです。

それについて、ピーズ夫妻がこんなことをおっしゃっていました。

以前、お二人は、「ロシアで本を出版し、講演活動をする」という夢を描いたことがあったそうです。しかし、当時は冷戦下にあり、ロシアはまだ鉄のカーテンに閉ざされた国でした。周りの誰もがあきれて「そんな夢は叶いっこない」と断言したといいます。

「誰一人知り合いもいないのに、いったいどうやって実現させる気ですか?」

そう聞かれても、夫妻は笑って「さあ、わかりません」と答えるしかありませんでした。

それでも、彼らはその夢をRASに入力しました。

すると、しばらくしてシドニーである会議に出席したときのことです。偶然、後ろの席からロシア語なまりの英語が聞こえてきたのだそうです。話しかけてみると、声の主は、ロシアの政府やマスコミに太いコネクションを持つロシア人でした。

夫妻とロシア人はその場ですっかり親しくなり、彼が窓口になってくれたことで、出版や講演の話はトントン拍子に進みました。

こうして、夫妻の夢はいっきに叶ってしまったのです。RASに任せておけば、思いもしなかった近道を教えてくれるということです。

「What?(何をしたいか?)」を具体的に紙に書く


夢を入力するときのコツは、頭で思うだけでなく書き出すことです。しかも、パソコンやスマホではなく必ず紙に手書きしてください。そうすることで脳の神経が活性化し、RASのスイッチが入りやすくなるからです。

その際も、書くのはあくまでも「What?(何をしたいか?)」だけです。「How?(どうやって?)」はいっさい書かない、考えないことが大切です。

そして、「What?(何をしたいか?)」を書くときは、できるだけ具体的に書くことです。たとえば「海辺に住みたい」と書いても、それだけではGPSにただ「東京都」と大雑把に入力したようなものです。具体的な住所がなければ、そこへ連れていってもらえません。

どこの海辺なのか、家はどのくらいの広さでどんな間取りなのか……など、夢や目標は視覚化できるくらい詳細に書き出すのがRASをうまく動かす秘訣です。

ピーズ夫妻がどん底からの再起を願って書いた本『自動的に夢がかなっていく ブレイン・プログラミング』は、世界累計2700万部という驚異的な大ベストセラーとなりました。夫妻は、思い描いた通り、再び豊かな生活を取り戻したのです。

自分は何をしたいのか? どうなりたいのか?

夢や目標をまず決めましょう。決めた未来から時間が逆に流れてきて、今のあなたを「そうなる」ように変えてくれるのです。

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