天使の歌声

行きつけの銭湯で、歌をうたう女子に出会った。

母親が女子の背中にお湯を流す姿が美しくその親子のことが気になっていた。
母の子に対するあたたかい眼差しに見とれていた。


風呂上がりにまったりしていると、その娘の女子が歌いはじめた。
思うままに自由に歌っている。
声の優しさ、メロディーの染み入り方、自然と調和しているかのような声色、引き込まれてしまった。

これは、この感動を伝えたい、伝えたい、伝えなければと思った。

母親に声をかけた。
娘さんの歌がとても素敵です。魂にひびきます。YouTubeで流してみたらどうでしょう。
(魂に響くだなんて、恥ずかしい言い方をしてしまった)


すると母親が、照れもあってか笑いながら「生存確認としてしか聞いてないですよ」とつたえてきた。兄妹も笑っていた。

まぁ、ぶしつけにいきなりそんなことを言う私もわたしだ(偉そうに)。


帰ろうとしていると、別の人が「綺麗な歌声だから聞き惚れる〜」と話しているのが耳に入った。
すかさず私は舞い戻って母親に
「他のお客さんも綺麗な歌声だと話してますよ」と伝えた。
今度は、発言が響いたように思えた。


ビョークの歌は、魂をえぐられる感覚だ。
声の質も心のひだに刺さるような声色。
エンヤほど透明で冷たいわけでもない。

まさに天使の歌声だった。
あのメロディーも。
あの天使にまた会いたい。
あの歌声をまた聴きたい。


今晩は、マツムシの歌声を聞きながら秋の夜長を楽しもう。














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