地方国立大3年次編入学試験
2024年度で地方国立大学(M大学)の三年次編入試験を受け,入学して早くも3ヶ月が経過したわけですが,Twitter等で随分と編入試験の詳細を聞かれることがありましたから,少なからず需要はあるのだろうと,筆を執ることにしました.
さて,正直な話,私自身は遊び惚けたり1日天井を見つめて動かなかったりする日もあったが為に,十分な準備と心構えをもってして試験に及んだ覚えはなく,名門の国立名古屋大学とDo志社大学に落ちに落ちて今この大学に拾われた(引っかかった)だけですから,あまりこういうリスキーかつ怠惰な人生の送り方をお勧めしないということを念頭のうえ,これから試験を受ける方々にとって何か参考になれば幸いかと存じています.
英語長文
英語は長文が2題.過去問を見ていると学術誌(natureなど)や専門書,新聞(The New York Timeなど)を出題している様子.私の時は新聞と学術誌でした.
それぞれの問題は,和訳,並び替え,英訳,単語の抜出など共通英語と同じノリの問題が続きますが,1つの文につき6~7問なのでそんなに多くはないです.多分すらすら解ければ時間内(1時間)で余裕をもって解き終わる筈でしょう.求められる英語力はTOEIC600~500程だと考えております.
驚異の英弱だった私は問題文中の単語がことごとく判らない所謂「テフがオフチョベットしてマリブガット」状態に陥り,ブラフと文脈から単語を類推するという何とも絶望的な戦略を取らざるを得なくなりました.英単語は地道に学習しましょう.
小論文
歴史に関する考察文(確か専門書であった筈)について,センター入試国語の文章読解のような問題が前菜として用意されたのち,1000字程の小論文を求められる,と云う具合.過去には文化人類学,社会学,宗教などについて,初等的な教科書,専門書を一部抜粋して出題するのが定番なご様子.
私の時は「歴史上の事象について,『名前を付ける』ことで解釈されているものについて,例を挙げて説明しあなたの考えを書きなさい」みたいな内容であった気がします.つまりはフランス革命が「革命」と呼ばれ「暴動」ではないこと,のような「名づけ」に掛かる歴史上の立場や文脈を恣意的に解釈することの影響や利点/欠点についてを記述することを求められていました.
弊大学の出題方式は非常に親切だと言えましょう.というのも,これは「何を求められているか」が比較的明瞭であるからです.後述の面接にも関わりますが,小論文・面接は「大学がどのような人材を求めているか」の見極めが重要になります.歴史を語るうえで勝者の物語のみを鵜吞みにしない心構えがあるか,他者の”異文化”を理解し象表と区別して解釈を行えるか,様々な言語,文化,社会を多様な角度から観察することができるのか…ect.大学で学問を行うためのクリティカルシンキング能力が十分に備わっているか,それを問題を通して知りたいと云う腹積もりで問題は作成されていますから,うまいことそういった批判的思考の点において「優等生」を演じられれば占めたものです.
文章を記述する「文才」も必要ですが,与えられたテーマの背景や周辺知識をその場で矢継ぎ早に想起できる知識量が重要になってきます.
面接
一般的な面接試験でしょうから,何か強く特筆すべきこともありませんが,しいて云うならば「面接官ガチャ」の存在でしょうか.他大学では異なるかもしれませんが,弊大学の3年次編入においては面接の部屋は二部屋用意されていて,各部屋に2人の面接官(学部の教授,准教授)が配置されています.大体,面接時間は10分,事前に提出した志望動機に沿って改めての志望動機,志望する専攻地域,さらに具体的であれば指導教員の志望など,また卒業後の「ビジョン」についてそこそこ細かく質問されます.
さて,この2部屋が,所謂「ガチャ」です.勿論,年度にも拠るでしょうが,2024年度入学試験においては,片方の部屋の教員が随分と厳しく,曖昧な答えを返そうものなら「詰められた」とのこと.
私はこのガチャでSSRを引いたのかはわかりませんがとても優しげなmadam(?)の教授に当たったようで,詰められるということはありませんでした.また,私自身,「言語学がやりたい」「学芸員資格を取りたい」「卒後は大学院しか考えていない」など志望動機,進路が明瞭にまとまっていたのもあり,試験官とは話も弾んで5分オーバーする具合に話し込んでにこやかに面接試験は乗り越えられたのが大きいかもしれません.
(余談ですが,同〇社大を受験した際には試験官の態度が気に入らない上に,研究に対する見識の相違から双方喧嘩腰になり無事落ちました.なるたけ穏やかに,楽し気に話せるのならそうすべきなのは自明ですが…)
入学後について
入学後すぐさま専攻地域決め(新カリキュラムでは専攻分野)と指導教員の決定がありますから,入学後のオリエンテーション迄にはあらかた決めておくと迷いがないとは思います.
以上,簡単ではありますが,何か参考になれば幸いです.
今後また追記があればしていくつもりですし,3年次編入学を考える人の後押しになれれば良いと考えていますから,どうかよろしくお願い致します.
それでは,またいつか.
郁香