野村 蔵人

美味しいもの、旨い酒、温泉、旅が大好き、最近は2CELLOSにはまっています。落語もい…

野村 蔵人

美味しいもの、旨い酒、温泉、旅が大好き、最近は2CELLOSにはまっています。落語もいいですね(笑)。

マガジン

  • 別冊 りぼーん (上)

    2022年8月公開のりぼーんをまとめました、よろしくお願いします(笑)。

  • 別冊 りぼーん (下)

    2022年8月公開のりぼーんをまとめてみました、よろしくお願いします(笑)。

最近の記事

りぼーん 最終話 (第27話)

60歳を半年後に迎える田中が、その先を考えて選んだ仕事を縦糸に、 田中の父との日々や、コロナ禍で生きる市井の人々を横糸にした話。 前回まで ・文雄 逝く② 「本日はご多用のところ、父、文雄の葬儀にご参列いただきまして、誠にありがとうございます。 親族を代表しまして、と、申し上げても本日は殆ど親族の皆さまばかりですので(笑)…、 ご挨拶は不要かと思いましたが、一応決まり事ですので(笑)」 「父は昭和4年に男5人、女2人の7人兄妹の末っ子で生まれました。 14歳の時に

    • りぼーん 第26話

      60歳を半年後に迎える田中が、その先を考えて選んだ仕事を縦糸に、 田中の父との日々や、コロナ禍で生きる市井の人々を横糸にした話。 前回まで ・文雄 逝く① 目次 ・文雄 逝く② 2021年9月26日(日)午前7時30分 田中の携帯が鳴った・・・、目覚ましタイマーの5分ほど前に、2時間の仮眠からは覚めていた。 電話を受ける前に、「もたなかったんだな」 と思った。 気管を切開しての挿管は止めた、ただ息をしているだけになるから・・・。 仮眠の時に見ていた夢を、はっき

      • りぼーん 第25話

        60歳を半年後に迎える田中が、その先を考えて選んだ仕事を縦糸に、 田中の父との日々や、コロナ禍で生きる市井の人々を横糸にした話。 前回まで ・特別養護老人ホーム ・東京オリンピック2020 目次 ・文雄 逝く① その朝、田中はスマホの着信で起こされた、いつもの起床より1時間ほど早い時間だった。 声の主は文雄のケアマネの庄司からで、少し緊張した雰囲気を感じた田中は、ベッドの上で座り直して、庄司の声を待った・・・。 同時に、田中は今回は乗り越えられないかもしれないと、

        • りぼーん 第24話

          60歳を半年後に迎える田中が、その先を考えて選んだ仕事を縦糸に、 田中の父との日々や、コロナ禍で生きる市井の人々を横糸にした話。 前回まで ・松ちゃん ・有志とのランチ⑤ 目次 ・特別養護老人ホーム ・東京オリンピック2020 ・特別養護老人ホーム 2020年の9月に文雄は、特別養護老人ホームに入所した(第19話)。 コロナの感染状況は小康状態であったが、各老人ホームはコロナ弱者である老人の対応に、必死の試行錯誤を重ねていた。 極端な例では、面会・差し入れ等の一切

        りぼーん 最終話 (第27話)

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          りぼーん 第23話

          60歳を半年後に迎える田中が、その先を考えて選んだ仕事を縦糸に、 田中の父との日々や、コロナ禍で生きる市井の人々を横糸にした話。 前回まで ・コロナ禍の人々⑧ 目次 ・松っちゃん ・有志とのランチ⑤ ・松っちゃん 5月下旬の朝、田中は事務所で松本と久しぶりに会った。互いに納金の計算をしながら、松本は前日の出来事を話してくれた。 松本「夕方、渋谷のホテルに無線で呼ばれたんですよ。お送り先は分からなかったのですが、行ってみたらなんと、藤沢までだったんですよ(笑)」 田

          りぼーん 第23話

          りぼーん 第22話

          60歳を半年後に迎える田中が、その先を考えて選んだ仕事を縦糸に、 田中の父との日々や、コロナ禍で生きる市井の人々を横糸にした話。 前回まで ・有志とのランチ④ 目次 ・コロナ禍の人々⑧ ・コロナ禍の人々⑧ ・4月中旬の午後9時頃、田中は銀座で男性2名をお乗せした。その雰囲気は、会食後に自宅にお送りするといった、感じであった。 中沢「今日はお疲れさまでした、参加された皆様が良かったと言っておりました」 池山「いえ、こちらこそありがとうございました」 中沢「ところで

          りぼーん 第22話

          りぼーん 第21話

          60歳を半年後に迎える田中が、その先を考えて選んだ仕事を縦糸に、 田中の父との日々や、コロナ禍で生きる市井の人々を横糸にした話。 前回まで ・皓太郎の結婚 目次 ・有志とのランチ④ ・コロナ禍の人々⑧(⇒申し訳ありません、次回に繰越しです) ・有志とのランチ④ 3月21日、最後まで2度目の緊急事態宣言が実施されていた首都圏の1都3県が、ようやく全面解除となった。 同下旬、田中は久しぶりに日曜日の乗務であったので、少し早めに出社した。 着替えを済ませ事務所に行くと、

          りぼーん 第21話

          りぼーん 第20話

          60歳を半年後に迎える田中が、その先を考えて選んだ仕事を縦糸に、 田中の父との日々や、コロナ禍で生きる市井の人々を横糸にした話。 前回まで ・父の入所 目次 ・皓太郎の結婚 ・皓太郎の結婚 田中は、文雄の入所から1ヵ月後に実家を明け渡す ため、言うところの断捨離を始めた。 残ったものは有無を言わさず、荻窪の家に引き取らねばならない。 処分しずらい母の遺品や家財を目の前に、ため息をつきながら、毎晩処分の手を動かした。 初めて見る両親の子供の頃の写真、父の親戚への

          りぼーん 第20話

          りぼーん 第19話

          60歳を半年後に迎える田中が、その先を考えて選んだ仕事を縦糸に、 田中の父との日々や、コロナ禍で生きる市井の人々を横糸にした話。 前回まで ・2020年の夏 目次 ・父の入所 ・父の入所 田中は申し込みから、予想外の早い入所許可に驚きと戸惑いを感じた。 所謂、世間で言うところの数年待ちを、 何となく想定していたから・・・。 しかし、このタイミングを逃すべきではないと考えて、9月下旬に入所する手続きを、田中は進めた。 2020年5月1日からのコロナ休業期間中に、田

          りぼーん 第19話

          りぼーん 第18話

          60歳を半年後に迎える田中が、その先を考えて選んだ仕事を縦糸に、 田中の父との日々や、コロナ禍で生きる市井の人々を横糸にした話。 前回まで ・コロナ禍の人々⑦ ・有志とのランチ③ 目次 ・2020年の夏 2020年の夏 6月中旬、都道府県を跨ぐ移動が解除された。 飲食店・ライブハウスなどへの休業要請も、 解除された。 が、下旬には新規感染者が1日当り100人を超え、 7月上旬には夜の街から人が消えた・・・ 7月下旬、田中は18時過ぎのJL149便で青森に 向かった

          りぼーん 第18話

          りぼーん 第17話

          60歳を半年後に迎える田中が、その先を考えて選んだ仕事を縦糸に、 田中の父との日々や、コロナ禍で生きる市井の人々を横糸にした話。 前回まで Sさん 目次 ・コロナ禍の人々⑦ ・有志とのランチ③ コロナ禍の人々⑦ 6月中旬、とうとう我慢できずに雨が本降りになってきた夕方、六本木の交差点近くから外国人の男性をお乗せした。 日本語は何とか通じ、買い物帰りの様子であった。田中は少し英会話のトレーニングのつもりで、出身や仕事、オリンピックやコロナについて話をした。 田中「だ

          りぼーん 第17話

          りぼーん 第16話 Sさん

          60歳を半年後に迎える田中が、その先を考えて選んだ仕事を縦糸に、 田中の父との日々や、コロナ禍で生きる市井の人々を横糸にした話。 前回まで コロナ禍の人々⑥ 目次 Sさん Sさん 2020年5月22日(金)18時、田中は無線で呼ばれ赤坂に向かっていた。 到着すると予約名のオオシロキョウコ様が、「進行方向が逆ですので向きを変えて下さい」と言われ、乗り込んだのは男性であった。 お送り先を伺うと品川のMホテルで、ご指定のルートがあるかと伺うと、少しぶっきら棒に答えが返って

          りぼーん 第16話 Sさん

          りぼーん 第15話

          60歳を半年後に迎える田中が、その先を考えて選んだ仕事を縦糸に、 田中の父との日々や、コロナ禍で生きる市井の人々を横糸にした話。 前回まで コロナ禍の人々⑤ 目次 ・コロナ禍の人々⑥ コロナ禍の人々⑥ ・2020年4月下旬の朝、田中はそろそろ帰庫時間だなと思いながら、羽田から都心に向かっていた。 新橋の外れで女性の手が上がったのを見た。 その女性は、西新宿に向かうよう言い、シートベルトを締めるや否や、自分の置かれた状況を語り始めた。その朝は、1週間に2日だけ出社する

          りぼーん 第15話

          りぼーん 第14話

          60歳を半年後に迎える田中が、その先を考えて選んだ仕事を縦糸に、 田中の父との日々や、コロナ禍で生きる市井の人々を横糸にした話。 前回まで コロナ禍の人々④ 目次 ・コロナ禍の人々⑤ コロナ禍の人々⑤ ・4月のある晩、田中は善福寺川に面した閑静な住宅街に、無線で呼ばれた。一人の男性から見送られて、安田は車に乗り込んだ。 安田「河田町まで、明治女子医大知ってますか?」 田中「はい、存じ上げております。逆向きですので、車の方向を替えます」 安田「いや、気にしないでい

          りぼーん 第14話

          りぼーん 第13話

          60歳を半年後に迎える田中が、その先を考えて選んだ仕事を縦糸に、 田中の父との日々や、コロナ禍で生きる市井の人々を横糸にした話。 前回まで コロナ禍の人々③ 目次 ・コロナ禍の人々④ コロナ禍の人々④ ・2020年3月下旬の土曜の早朝、田中は世田谷から八王子のゴルフ場へ、男性2名をお送りした。 坂本(部下)「佐藤なんですけどね、やはり離婚するそうです。流石にカミさんの浮気は、我慢できなかったらしいです」 平山(上司)「そうか…、彼は確か未だ住宅ローンが残っていると

          りぼーん 第13話

          りぼーん 第12話

          60歳を半年後に迎える田中が、その先を考えて選んだ仕事を縦糸に、 田中の父との日々や、コロナ禍で生きる市井の人々を横糸にした話。 前回まで コロナ禍の人々② 目次 ・コロナ禍の人々③ コロナ禍の人々③ 政府は2020年2月下旬から大規模イベントの中止、延期または規模の縮小(2週間)、全国の小中高校の臨時休校を要請。 WHOが「新型コロナウィルスはパンデミックと言える」、と述べるに至る。 ・3月中旬の日曜の夜、田中は元麻布から目黒まで40歳代のサラリーマン風の男性を

          りぼーん 第12話