虫との格闘記to月と河
僕は虫とはたぶん平均的な好き嫌いの関係にあると思っている。足が六本あれば別にさわれるんだけど、足がそれ以上それ以下だと阿鼻叫喚地獄絵図になってしまう。小学生の時に学校で蚕を育てていて、ある一週間粋がって家に小さな平たいお菓子箱に餌の葉っぱとともに入っている奴ら何匹化を引き連れて帰ってきてしまった。食卓から1メートルくらいの箪笥の上に箱をちょこんと置いたことがちょっとした悪夢の始まりであった。
蚕のあの鼻につく独特なにおいが箱を開けるたびに嫌悪感とともに部屋に広がる。学校に返すか、自然に戻してあげるか考えたけど担当に自ら名乗り出てしまったから到底できない。ああもうなぜ触ることも恐ろしいものを持ち帰ってしまったのか。毎晩毎晩、奴らが箱をこじ開けて箪笥から降りて寝室まで進軍し、僕が寝ている間に奇襲されるんじゃないかと毎日おびえていた。
そんなこともあったなーと思い出した。
今日蟻が足元でうろちょろしていて、少し意地悪したい気になって踏んでやった。その息だえた亡骸を仲間の蟻がけなげに運んでいく。
よく本を外で読むんだけど、トンボだったりがよく飛んでいる。だけれども許せない存在が唯一この世に存在する。夏の夜に耳元でささやいて眠りを妨げる、実体のない悪魔―蚊だ。虫を殺したりすることに少しはばかる僕もこいつらを殺すことには躊躇しない。感覚を最大感度にして足についた悪魔を聖槌でバチンっ!。手に少し黒い影が残る。味方の損害も大きいのだが撃退した暁にはつかの間の平和が訪れる。いつの間にか本が1ページも進まずに時間がたつ。そんなこんなで非生産的な日常を送っている。
今日は月がきれいだった。大きな真ん丸のブルーな夜を照らすブルーな月。
今日は河が流れていた。ゆったりとしたおおらかな流れ。
適当になんか中途半端にかっこいい教訓を書こうと思ったけどやめておく。
おやすみなさい