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【03】 11月24日インタビュー未掲載分/「学校生活、体育と外遊び」

 11月17日の撮影とその時のいわばプレ・インタビューを経て、いよいよインタビュー本番を迎えました。この時だけで実に2時間半ほどお話を聞いていたようで、そりゃ載せきれないはずだ…。

 本紙でご紹介した、スイミングスクールで外見をからかわれてしまった出来事。実はそのエピソードは以前に聞いたことがあったのですが、それ以外に外見やアルビノについて、詳しく話を聞くのはこれがはじめてでした。「目立ちたくない」という気持ちを持っているのはプレ・インタビューの時に感じていましたが、結果それがこの取材の鍵になってくるとは、この時点ではまだ思いもよりませんでした。


夢:小学生の初めの頃は、籍だけ特別支援学級にもあったんですよ。体育の授業が屋外の時は運動場にほとんど出られなかったので、その時は私だけ支援学級で単眼鏡の使い方を教えてもらったりしてましたけど、「なんか別にいらんのにな」と思って。

g:特別支援学級だったの?

夢:一応在籍はしてたんですよね。やっぱり私がこういう疾患を持ってるから、行政のシステム的にはそっちに在籍ないといけないみたいな感じ?小学校に上がる時は。

g:制度的なことなんだね。

夢:的なことで一応。 ほとんど体育の時ぐらいだったんですけど。でも4年生からは通常学級に移らせてもらいました。もう制度とかいいです、みたいな感じで言って。

g:自分としては初めから全然「そんなのいいや」って感じだったのかな。


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夢:そんなのいいや、って感じでしたね。たぶん両親も普通学級で大丈夫、って思ってたと思うんですよね。でもそんな感じなんやったらまあ在籍だけ入れとくか、みたいな感じで。でももう必要ないと思ったので、それで「除外してください」ってお願いして。

g:必要ないっていうのは、見え方の配慮的なこと?

夢:そうですね。なんか学校側も私の扱いが最初わからなくて、先天的な疾患があって紫外線に弱くて、視覚にも障害がある。で、どう対応したらいいんだろうってことで探り探りだったと思うんですけど「全然通常学級で大丈夫じゃん」ってなったんだと思います。

g:学校としてはとりあえずこういう子が入ってくるから、考えられる必要な措置を取ろうと。で準備はしてみたけど生駒さん元気だし、本人も別に困ってるっていう訴えでもないし、大丈夫そうだねってことで通常学級に移ってもOK、てなったのかな?

夢:だと思いますね。

g:体育に出られなかったのは、紫外線にあたるのがよくないから?

夢:あ、紫外線です。

g:それは長袖着るとかじゃなくて、もう基本体育はNGだったのかな?

夢:えっと、本当にもう要所だけ?45分の授業で、例えば1人1回ずつボール投げましょう、とかあるじゃないですか。そういう時にボールを投げる順番になったら外に出て、投げて、終わり。順番待ちとかそういう時間は外にはいなくて。それも長袖着て完全防備でやってましたね。

g:それも長袖着てたんだ。

夢:着てました。はい、日傘さして(笑)。

g:日傘もさして?なかなかのセレブ小学生だったね(笑)。

夢:(笑)

g:それ自分ではどうだったの?休み時間に外出て遊ぶとかはやっぱりダメなの?

夢:やっぱ学校の中ではできなくて、学校終わってからは友達と外でわいわいやってましたけど、学校では1人教室に残ってることも結構ありましたね。

g:それは先生から言われちゃうの?

夢:言われる言われる。規制がかかっちゃうんで。幼稚園の時にダメって言われてたけど、一度外に出て普通に鬼ごっこしてたらめっちゃくそ怒られました(笑)。人生で一番怒られました(笑)。

g:もうどちゃくそ怒られて(笑)。

夢:それでもう反省して(笑)。

g:それは幼稚園の先生に?

夢:幼稚園の先生に「ダメでしょ!」みたいに。めっちゃ怒られました。

g:おうち帰ってからご両親に言われたりもした?

夢:いや、親には言われなかったですね、その出来事。たぶん連絡帳で多分ツーツーやったと思うんですけど、親とそういう話はしたくなくて。なんも言わなかったですね。

g:ご両親も連絡帳とかで把握していただろうけど、言わなかったんだね。

夢:ですね、っていう記憶です。曖昧だけど。

g:ご両親にはそれほどに言われなかった?日に当たらないようにとは。

夢:んー、でも結構言われましたね。家族で出かける時も長袖着て、日傘さして、とかは。友達と遊ぶ時は自分だけだったので、両親も見てないし、先生もいないし、全然気にしないで毎日外で遊んでました(笑)。そんな気にもせず。

g:子ども同士だし、お互いに違いを意識することもなかったんだろうね。

夢:そうですね。たぶん私も周りもそうだったんじゃないかなと思います、ちっちゃい時は。普段の生活ではそういうことはなくて、私のことを知らない人と関わる時に違いを認識させられるっていうか、そんな感じだったと思います。


 アルビノの方は外出や紫外線にナーバスな印象があったのですが、本紙でも発言があったように生駒さん自身はそれほど神経質に対応をとっていたわけではないようでした。むしろ周囲の対応によって違いを自覚させられる、そんな状況だったように思います。もちろん周りの人たちにもいろいろな考えがあっての対応ではあるのでしょうけど、どこか本人の気持ちが置き去りにされている、そんな感覚を覚えます。次回も引き続き、周囲の対応を本人の気持ち、感じ方についてをお話ししてもらっています。
次回は4月20日頃の更新予定です。

※アルビノの原因遺伝子は約20種類ほどあり、それによって髪や肌の色などの外見上の特徴、視力や羞明、その他の合併症の有無など、特性の表れ方にはかなりの違いがあるそうです。そういったそもそもの特性による対応の違いもあったのかもしれません。

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