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Apple MusicでもSpotifyでも(まだ)聴くことができない「現代のレアグルーヴ」。
配信楽曲数が1億曲以上と言われるApple Musicと、7200万曲以上と言われるSpotify。
けれど、そのどちらのサービスをもってしても現状聴くことができない曲やアルバム、アーティストはけっこう存在する。
ストリーミングや音声ファイルのデータ購入が主流になった現代、レコード→CD化→データ化という本来の流れから、CD化のプロセスを飛び越えて音楽データをリスナーのもとへ提供できるようになった。レコード→CD化という工場を稼働させなければいけない物理的なプロセスが不要になったので、例えば70年代モダンソウルの激レアな7インチレコードが、未CD化のままMP3データで購入できたり、Spotifyで聴けてしまうなんてことは当たり前になっている。
CD全盛時代に「レアグルーヴ」として消費されてきたブラックミュージック群は今や本来の意味での「レア」ではなくなっているし、「レアグルーヴ」という言葉も最近は「ちょっとカルトなブラックミュージック」程度の意味合いで使用されている。
そんな現代にあってもなお「デジタル化の網に引っ掛かっていない音楽」たちがある。
ポリコレの絡みやら権利関係やらその他諸々あらゆる事情があるのだろうと察するが、もしこの文章をご覧になっている関係者様がいらっしゃいましたら、デジタルデータ化及び配信に向けて、お力添えのほど何卒宜しくお願いいたします。
今回は、2024年現在、Apple MusicとSpotifyを駆使しても聴くことができない私の所有するオススメアルバムをご紹介したい。
まさに配信サービス時代における「現代のレアグルーヴ 」である。
COMPLETE DISCOGRAPHY(2000) / Charles Bronson
スパッズもキャピタリスト・カジュアリティーズもほぼ全てのアルバムが配信されているのになぜかデジタル化から漏れ落ちているチャールズ・ブロンソンのベスト盤。西部劇で有名な役者さんが歌っているわけではなくパワーヴァイオレンスのバンドです。
パワーヴァイオレンスと言うよりも超高速スケートコア。これ聴ききながらスケボープッシュして街中走りてぇ!スケボー乗れねえけど!
曲は『What The Fuck Are You Gonna Do When It's Cool To Be Yourself?』。
Jeff Mills Mix-Up Vol.2(1996) / Jeff Milles
石野卓球監修のシリーズもの。新宿リキッドルームでのジェフ・ミルズのDJプレイの模様を録音したMIXCD。テクノヘッズたちには今さら説明不要の傑作。ドス黒くて厚くて重くて攻撃的で荒々しいミニマルビート、焦らしのブレイク、そして神業の繋ぎ。スタジオアルバムよりやっぱ断然カッコいいんだよなぁ。
曲(というかチャプター)は『Segment 3』。
Demise(1989) / Missing Foundation
ゴリゴリのアナーキスト、ピーター・ミッシング率いるミッシング・ファウンデーションの3rdアルバム。1stも2ndももちろん配信されていないし、そもそも彼らの初期のCDアルバムは中古市場では常に品薄状態でやや高値。暴力的な音楽性とは裏腹にホームレスへの奉仕活動に勤しんだ80年代ニューヨークのストリートダークヒーロー集団。
拡声器やガラクタを駆使したアジテーションボイスとメタルパーカッション。ノイバウテン、ハナタラシ以上の狂気性と攻撃性と破壊衝動、と、何故かほのかに香るインテリジェンス。「ノイズの極北」ホワイトハウスと並ぶ「インダストリアルジャンクの極北」として音楽史に君臨しています。
「とにかく過激な音楽を聴きたい」という人々の最後の受け皿。
曲は『A Hunting we will go』。
Music Inc.(1971) / Music Inc.
チャールズ・トリヴァー、スタンリー・カウエル、ジミー・ホップス、セシル・マクビーというストラタイーストのオールスター布陣で挑むキメキメのビッグバンドジャズ。というかストラタイースト立ち上げ時の名刺代わりの一発(レーベルの記念すべき1枚目の作品のはず)です。上品なバディー・リッチって感じ。オシャレなイケイケ系。
曲は『Ruthie's Heart』。導入からカッコよすぎる。
New Beginnings(1988) / Joe Bonner
ファラオ・サンダース諸作のピアニストとして知られるジョー・ボナーの(ほぼ)ピアノソロ。ジョセフ・ボナー名義でもアルバムをいくつかリリースしてますが、このアルバムはなぜか見つからない。かっこいいのに。
いわゆるマッコイ・タイナー系譜、ジョン・ヒックス、板橋文夫の系統のピアニストです。
気になった方はぜひ他のアルバムも。ジョセフ・ボナー名義での『Impressions of Copenhagen(1981)』とかももすごい良いです(これはApple Musicで聴けるはず)。
曲は『Primal Scream 』。
Love, Oh Love(1983) / Vince Andrews
フォーラムとかP.E.ヒューイット的な、あの辺のラウンジジャズとかダンスフロアジャズの発掘に伴って発見再評価された傑作。国内盤CDもちゃんと出てるのに、なぜかヴィンス・アンドリュースだけApple MusicにもSpotifyにも引っかからない。もちろんAmazonでMP3も売ってません。
曲は『The One Who Needs You』。オシャレ!