「フォーティーフォー」ではなく「よんじゅうよん」と読みます。日本で一番カッコ良かったポストロックバンドはCONDOR44です。音楽ファンの皆様、覚えて、そして忘れないでください。
カッコ「良かった」と過去形で言っているけど、2013年にオリメンドラマーだった安島氏が脱退したタイミングで、バンド名を「44th music」に改名して、東京事変の刄田さんをサポートドラムに迎えたのち、現在も活動を続けているはずです…..たぶん。
というのも2021年ごろからX(Twitter)のポストがありません。誰か情報求む。
さて、コンドル44、タイトルにも書いたが読み方は「コンドルフォーティーフォー」ではなく「コンドルよんじゅうよん」が正しい。どちらにせよ語感が抜群なので誤読する気持ちもわかる。
私が知る限りコンドル44は国内の野外フェス、フジロックやサマソニ、ロックインジャパン、ライジングサンなどに呼ばれていた記憶がほぼ無く、2000年代の邦楽オルタナロックバブル期に活動していたのにも関わらず、当時の熱心な邦楽ロックファンの間ですら知名度が低めである。フジロックより先にNYのフェスやSXSWに呼ばれてしまっていた始末だ。
おそらく彼らの音楽性は日本の音楽ファンよりも先に海外の音楽ファンに刺さったのだと思う。Youtubeにあがっている彼らのMV動画のコメント欄は、それを物語るかのように日本語よりも英語でのコメントの方が断然多い。
コンドル44はボーカル・ギターの佐々木博史、ボーカル・ベースの石田千加子、ドラムの安島暢行からなるスリーピースバンドで、1999年に結成された。
ザックリ説明するとコンドル44は
「2000年代初頭の日本でスリントやモグワイみたいなことをかなりハイクオリティにやっていたバンド」
であり、当時の他の邦楽ロックバンドたちと比べてもかなり異質な音楽性だった。
Slint(スリント)、そしてMogwai(モグワイ)は「ポストロック」と呼ばれる音楽ジャンルの先駆的、代表的なバンドとして知られている。
ポストロックの定義と範疇については曖昧かつ多種多様なので説明は省くが、ことスリントとモグワイに関して言えば、轟音フィードバックノイズと過剰な変拍子やリズムチェンジがよく語られる特徴である。
具体的には例えば一曲中、前半は静かで緩やかだった演奏が、後半に向かうにつれて徐々にテンポや音圧やメロディを激しく変化させていくような「ドラマティックな緩急」が最大の魅力で、よく「静→動」や「カタルシス」という表現がされたりする。
似たように変拍子を一曲中で繰り返す、例えばBattlesみたいにショートタームに様々なバリエーションの緩急を詰め込む感じのマスロックみたいな音楽とは若干区別される。
Don, Aman / Slint
Summer / Mogwai
Take Me Somewhere Nice / Mogwai
「楽曲構成全体でのダイナミズムを楽しむ」この手の音楽は、ワンフレーズ試聴では全く魅力が伝わらないという弊害というか弱点があるので、ぜひ配信サービス上で一曲丸々じっくり聴いてみてほしい。ファーストインプレッションでスキップを繰り返す音楽視聴がデフォルトの現代では特に、スリントやモグワイの音楽はだいぶニッチでキャッチーさとは程遠いので、似た音楽性のコンドル44が日本でワーキャー騒がれる、みたいな想像はリアルタイムの当時でも確かにし辛かったのは本音である。
しかしながらコンドル44の音楽は、メンバーの石田氏による女性の感性が入っていた事と、旧友のルミナスオレンジとかクライフ・イン・ザ・ベッドルームとかあの辺の爽やかで疾走感のあるシューゲイザーバンドたちのエッセンスがたっぷりブレンドされていた事で、単なるスリントやモグワイの模倣になることなく独自性を担保していたし、「昔のモグワイなんて辛気臭くて聴けねーよ」みたいな音楽ファンもフックできるスタイリッシュな個性があった。
何よりそもそも3ピースとは思えない厚みのあるエッジの効いた演奏だけでも魅力いっぱいなのである。
※condor44の楽曲はSpotifyでは配信されていないので今回はApple Musicからシェアします。
00203(2001) / Condor44
db(2002) / Condor44
Good Bye 44th music(2007) / Condor44
長らく四の五の喋りましたが、結局つまりはコンドル44は、日本一カッコ良いポストロックバンドだったし、シューゲイザーバンドだったし、もっとみんなに知ってほしくて、聴いてほしい一心で、今回紹介しました。
佐々木さん、石田さん、もしこの文章が届いていたら、44th musicの新曲、首をコンドルの寿命ぐらい長くして待っておりますので、何卒よろしくお願いしまっす。
夜のハイハットにキメろベイベーっす。