見出し画像

「フジロック常連のアマチュアバンド」。底抜けに陽気なジャンプブルースで日々頑張るオッサン達を元気にする吾妻光良 & The Swinging Boppers。

出演アーティストがズラッと羅列された夏フェスのポスターで、レギュラー出演みたいな頻度で毎年のように登場している「吾妻光良 & The Swinging Boppers」という名前。

実は驚くなかれ、知らない人には読み方もままならないこのグループは「アマチュアバンド」である。

世界広しと言えど、アマチュアバンドの肩書きで主要な夏フェスの常連となっているのは、吾妻光良 & The Swinging Boppers(あづまみつよし & ザ・スウィンギン・バッパーズ)ぐらいだろう。
アマチュアと言っても演奏に難があるとか技術的にプロレベルではないとかそういうことではなく、単純に構成メンバー達のほぼ全員が定職を有していて「音楽活動があくまでも副業」であるということだ。

1979年、早稲田大学の音楽サークルに所属していた吾妻光良が、卒業記念として同大学のジャズ研やジャズサークルのメンバー達を集めてビッグバンドのコンサートを企画したのがバンドの始まりである。卒業記念コンサートのための急造バンドだったのでもちろん一旦は解散となったが、大学卒業後に再結成し、不定期での音楽活動を開始。1983年に1stアルバム『Swing Back with the Swinging Boppers』を発表し、以後も副業バンドならではのマイルドなペースでアルバムを発表し続けている。

フロントマンの吾妻光良の「陽気さ」「痛快さ」「くだらなさ」に振り切った歌詞と、大所帯編成でのスウィング感溢れる演奏はまさに「ジャンプブルースの真髄」である。

やっぱり肉を喰おう


最後まで楽しもう


カミさん不細工な方がいい(UGLY WOMAN)


150〜300


ご機嫌目盛


やっぱ見た目だろ


正しいけどつまらない


打ち上げで待ってるぜ


俺の薬はデカい


「ジャンプブルース」とは、スウィング/ビッグバンドジャズの影響によりアップテンポ化したブルースを指す。
ジャンプブルースはノリの良いJive(軽快、ユーモラス)な表現が魅力で、本来のブルースの肝の部分である「悲哀」や「嘆き」とは正反対の精神性が土台にある。

吾妻光良はとあるインタビューにて、ジャンプブルースのパイオニアであるルイ・ジョーダンの言葉を借りながら「ライブに来てくれたからには陰鬱な気分を味わわせたくない。楽しくて元気が出るような一瞬を与えたい」という彼自身の音楽活動の信念を語っており、その言葉どおり吾妻光良が作り出す音楽は、苦悩や悲しみ、苦しみが割って入り込む余地が微塵もなく誠心誠意、目一杯にJiveしてくれているものばかりだ。

自虐と皮肉いっぱいに、私たちのなし崩しや怠惰を肯定してくれる吾妻光良 & The Swinging Boppersの音楽は、「やってはいけないこと」や「やらなきゃいけないこと」や「やるべきこと」だらけで雁字搦めになった現代の人々にこそ必要な栄養である。


吾妻さんが言ってたみたいに、「正しいけどつまらない(2019)」世の中にどんどんなっていってます。

ニューアルバムありがとうございます。聴いて元気出しまっせ!

いいなと思ったら応援しよう!