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ナルシスト達の終着音楽「Dark jazz」をタバコ吸いながら聴く。

2015年頃からにわかに盛り上がりを見せる「Dark jazz(ダークジャズ)」という音楽ジャンル。

別名「Noir jazz(ノワールジャズ)」「Doom jazz(ドゥームジャズ)」とも呼ばれ、探偵モノのハードボイルド映画の一場面を想起させるような音楽性が特徴である。
「jazz」という言葉が入っているが、モダンジャズの進化の文脈で登場した音楽ではなく、アンビエントの派生ジャンルである。

モダンジャズの歴史において、いわゆるその手の「ハードボイルドな」ジャズミュージックの極点はマイルス・デイビスによる『死刑台のエレベーター』のサウンドトラック盤であろうと思う。
ダークジャズは、死刑台マイルスの演奏の抑揚と輪郭をより曖昧にし、より暗く、重苦しくしたコンセプチュアルジャズという趣だ。

これがまた聴いているととにかくタバコが進み、そういう意味で身体に悪い音楽ではあるのだが、あらゆる意味で社会や世の中との隔絶を余儀なくされた人々にとって、物語の主人公になり切れる「救いの音楽」でもあると思う。

実際に楽器を演奏していたり、DTMやサンプリングで曲を作っていたり、おそらく形態はグループによって様々な上、発表音源がダークジャズとして一貫しているグループもあれば、ある1 つのアルバムのみでダークジャズを試作したグループもある。
フィジカル盤も出していたり、ダウンロード盤のみだったり、今時の感じでBandcampとツーカーだったりして、ジャンルとしてのムーブ感や一体感はなくまだまだ発展途上の音楽ジャンルである。が故に、実績は無いけど野心はあるトランペットやサックスの吹き手や、打つ手を失ったトラックメイカーにとっては、広大なブルーオーシャンである。大野雄二氏やTBMのマインドを受け継いで、日本国内からダークジャズのスーパースターが出てくることを願う。

それでは、個人的にオススメなダークジャズの盤をご紹介。

Parole de Navarre(2007) / Dale Cooper Quartet & the Dictaphones

フランスのグループらしい。カルテットと言っているぐらいなのでおそらく4人組で、ちゃんと楽器も演奏している模様。
ダークジャズ界の中ではロングキャリアのグループのようで、安定感があります。



SUNSET MISSION(2016) / Bohren & der Club of Gore

ドイツのグループ。グラインドコアやドゥームメタル出身のバンドマンたちで結成されているらしいので、演奏の技術に関しては間違いないはず。発表されてるアルバムも比較的多いが、特にサックスの鳴りがフィーチャーされている曲が多数収録されたこちらのアルバムがオススメ。


Silence, Then Pause(2018)/ junkyard shaman

この人はネット上でフィジカル盤を発見できず、国籍や活動歴や活動拠点など本人に関する情報を入手できませんでしたが、音楽自体はローファイ感とリバーブ感がとても良い感じのダークジャズです。
※(追記)ディスクユニオンオンラインで当該アーティストの別タイトルCDアルバムを発見。フィンランドのノイズ/インダストリアル系のミュージシャンのようで、アルバム作品などによってはダークジャズ以外の音源も多そうなのでご注意を。


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