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【随筆】背番号55への憧れ【野球】

55という数字


 プロ野球、巨人伝説の選手、王貞治。世界のホームラン王と呼ばれた彼が記録した年間55本の本塁打。長い間、その記録を超える人がいませんでした。
 そのため、プロ野球選手として背番号55を背負う選手にはその記録を超えてほしいという願いが込められてました。

 ……まぁ、それも昔のこと。
 今の記録はバレンティン選手の年間60本塁打。

 それでも背番号55は特別な番号。個人の勝手な思い入れですが、強打者が背負うからこそふさわしい番号。気にせず「空いてるから」という理由で投手に渡す監督には「ん~」と唸ったものです。

自分にとっての背番号55

 自分は幼いころ、背番号55にすさまじく強い憧れを抱いていました。当時の図工で作った作品には、背番号55の選手を題材にしたものが溢れていました。
 自分達の世代でいえば、背番号55は海を渡ったヤンキースの四番打者が一番有名でしょう。ただ自分が描く55番の選手には青が多く使われていました。

 故郷の英雄に憧れて海を渡り、ブルーのユニフォームを身にまとった台湾の青年。
 自分の少年時代は、彼への憧れ一色でした。

 そのきっかけは、初めて見に行ったプロ野球。
 巨人ファンの父に連れられて行ったプロ野球はよく分からなかった子どもは、目の前に飛び込んだ彼の本塁打にすっかり魅了されてしまいました。
 慕っていた祖母も巨人ファンなのに、そんな感じで自分は中日ドラゴンズのファンとなって今に至ります。

後悔、先に立たず

 そんな彼が旅立って、もう10年近くになります。
 自分が今も後悔しているのが、彼の晩年、地元で店長をしていたお店に足を運ばなかったことです。
 あんなに好きだったのに。いつか行こうと思いながら、行けなかった。
 これを書いているときにも、苦しい思いになります。

後悔しないように生きるのは難しい

 そう考えると、この出来事以外にも「なぜ、しなかったのか」と後悔することは多いです。未来を予期することは本当に難しい。
 それでも。
 今の自分は、実は奇跡の上に成り立っているのではないか。

 そう、思いながら日々を生きていきたい。
 そんな風に思っています。


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