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ジャニーズ「性加害」取材録(4)記者は見た!ジャニー喜多川がモノを投げて怒った日

 広末涼子の不倫による活動停止の騒動ですっかり芸能ニュースの注目はそっちに移ってしまい、筆者も取材の上、関連記事を書かねばならなかったが、そんなことで終わらないのがジャニー喜多川氏の性加害問題、こちらは個人の問題にとどまらない日本社会の事件だ。

 巧妙なのはジャニーズ事務所が、再発防止や被害者のケアなど「事後対応」に焦点を置いたパフォーマンス的な対応にすり替えていること。喜多川氏が故人であるいま、再発の可能性はかなり低く、防止策を作っても問題が解決するわけではない。これは喜多川氏が生前にやらかした過去の問題であり、まず必要なのは「何があったのか」をどれだけ正確に把握できるか、だ。だから外部専門家による調査団が「再発防止特別チーム」という名前自体、問題をごまかすお手盛りの対応になっている。

 それを追及する役割がメディアにあるのだが、日本の芸能マスコミの間ではいまだジャニーズ問題を「NG案件」と呼び、保護をかけている。表面的な動きを追っただけのものや、感想の域を出ない記事ばかりなのはそのせいだ。

 だから、ここでは少しでも事実といえる断片を書いておきたい。密室の性被害については暴けなくとも、芸能記者ならばジャニー喜多川氏の人物像や事件の背景を見てきている。筆者も生前の喜多川氏の振舞いを目の前で見たことがあり、ときに記者たちを怒鳴った場面に居合わせたのだ。

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