第5回「ゲンロン ひらめき☆マンガ⼤賞」受賞者が決定! 白熱の選考会をレポート!
2023年3月11日(土)、株式会社ゲンロンが主催するマンガ家育成スクール〈ゲンロン ひらめき☆マンガ教室〉第5期の最終課題の講評会が、第5回「ゲンロン ひらめき☆マンガ⼤賞」選考会と題して行われました。同選考会の模様はYouTubeで無料生中継され、アーカイブも公開されています。
本記事では8時間を超える白熱の選考会のレポートと、大賞ほか受賞作の紹介をいたします。
第5回「ゲンロン ひらめき☆マンガ⼤賞」には全20作の提出がありました。選考委員は、主任講師のさやわか⽒、マンガ家の武富健治⽒、コラムニストのブルボン⼩林⽒、編集者の山本侑里⽒の4⼈が務めました。また、各社の現役編集者5名(鍵田真在哉氏、菅谷彩花氏、須見武広氏、得能裕生氏、東浩紀氏)にも事前に配点と審査に加わっていただきました。
選考会は、選考委員と受講生による質疑応答をはさみながら講評が進みました。作品の評価はもちろん、受講生の皆さんが作家として自分の作品を、あるいは自分自身をどう売り込むのかも選考会のおおきな見どころとなりました。
選考会の結果、 第5回「ゲンロン ひらめき☆マンガ⼤賞」の受賞は、かわじろう氏の「下戸のソウルフード」に決定しました! おめでとうございます!
普段はデザイン関係の仕事をされているというかわじろう氏は、本講座への受講をきっかけに本格的にマンガを描き始めたそうです。講座の1年間のなかでも、提出した数々の作品は高い評価を得てきました。
本作品は、自動車でラーメン屋台をやっていた母が亡くなり、主人公がその悲しみを乗り越える過程を描いています。温もりあふれる絵柄と洗練された構図で描かれる世界は、読者をググっと物語へ引き込みます。選考委員の武富健治氏は「これが(今回の選考作品のなかで)突出して好きだった」と絶賛。深夜の高速道路で形見の屋台を走らせながら母の死を受け止める主人公を描いた見開きは、情緒に富んで感動を誘います。
さらに、以下の3作品に審査員特別賞が与えられました。
【武富健治&ブルボン小林賞】 谷なすび「そのパンツ僕にください」
目が離せなくなるユニークな魅力に満ちた個性派マンガ。現実とも非現実ともつかない世界の中で紡がれる青春物語が、読者の胸に迫ります。選考委員の山本侑里氏は「気になってページをめくってしまう、怪物みたいなマンガ」と評しました。衝撃のラストは必見です……!
【山本侑里賞】 あさかたこれ太郎「さよならは夢のあとで」
主人公の女の子の仕事は、死の間際にいる人々が見る、最後の夢をつくること。そんな主人公と、病に伏せる男の子を描いたハートフルなマンガです。ファンタジックな世界を描きながらも、どこか切実なリアルへ抵触しているような切なさがあります。選考委員からも好評を博したキュートな絵柄は、読者の目を楽しませるとともに物語をいっそう魅力的に仕立て上げています。
【さやわか賞】 降原「眼差し」
選考委員のさやかわ氏からは「マンガのセンス・オブ・ワンダーがある」と高い評価を得ました。優れたキャラクターデザインで読者の関心を引き、骨太なストーリーを楽しませてくれる、マンガの醍醐味にあふれた作品です。いじめという王道的なトピックを扱いつつも、呪いというエッセンスが加わることで、新鮮な読み心地を味わえます。
さらに主任講師のさやわか氏から、講座1年間の活動に対して、山中美容室氏に「ひらめき☆特別賞」が与えられました。山中氏は本選考会に向けての作品提出はなかったものの、講座外でも積極的に活動し、2023年3月には「第4回トーチ漫画賞」の大賞を受賞しました。受賞作の一部である『地層の女』は、本講座の課題として制作された同人誌『ぼくたち、秘めてます。』にも収録をされています。
惜しくも選に漏れた作品も含め、提出された20作はすべてウェブ上に掲載され、無料でお読みいただくことができます。
選考会の終わりには、選考委員のブルボン小林氏から「継続に関して、いちばん重要なのは根性だ」というアツいエールが送られました。卒業生の皆さんのさらなるご活躍を心から応援しています!
〈ゲンロン ひらめき☆マンガ教室〉の第6期は、2023年4月からスタートします。新たなゲスト講師として『映像研には手を出すな!』の大童澄瞳先生、『青野くんに触りたいから死にたい』の椎名うみ先生、『姉の友人』『かけおちガール』のばったん先生がご登壇。また受講生による課題投稿サイトの大幅リニューアルを予定しており、マンガを学ぶ・描く・読む・語るための広く開かれたコミュニティへさらに進化します。
今後の最新情報は、公式サイト、またはゲンロンスクールのSNSなどからご覧ください。