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嘘でも商品が売れる?!OOH広告とSNSの親和性。
今回のnoteでは、「OOH×SNSは深堀りできる可能性があり、クリエイターに使ってもらうことでもっと媒体価値があがるのでは?」という事について書いていきたいと思います。
OOHの広告効果を把握する上で、掲出した広告がSNS上で拡散したかどうか。についての広告主の興味が高まっているように感じています。
OOH広告の弱点であった、その場所にいる人にしか届かない。という課題はSNSでの拡散によって解決され、実際に見に行けない人にも広告を届けることが期待されるようになったからです。
【2/15〜2/21まで『鬼滅の刃』大型広告掲出中!】
— 鬼滅の刃公式 (@kimetsu_off) February 15, 2021
田園都市線渋谷駅のB1F、道玄坂方面(A0・A1出口付近)の道中にある壁面「道玄坂ハッピーボード」で、発売中の原作画集とファンブック第二弾を紹介しています。
お通りの際は、ぜひご一覧ください…!
※駅係員さんへのお問い合わせはご遠慮ください。 pic.twitter.com/NwFQxhdK3n
例えば、この鬼滅の刃の広告が結構バズっているのですが、1.7万リツイートに、7.8万いいねがついております。
2017年頃の情報によると、Twitterで広告を出した際に、1リツイートあたり40~70円というのがエンゲージメントの金額の相場としてあったようで、仮にこの金額を参考にするならば、この投稿は、70万円~120万円くらいの価値があったことになります。
リツイートされたものをリツイートしたり、実際に見に行って写真を撮って投稿する人もいるので、さらに大きいとも言えます。
鬼滅の広告で掲出している「道玄坂ハッピーボード」は、媒体費と施工費で380万円という事なので、デザイン費/印刷費など入れて480万円くらいだとしても、広告費の4分の1はSNSでの拡散で回収できた。と言えるのかもしれません。
(もちろん相場も変わっていますし、単純計算できない部分もありますが)
また、SNSでの拡散には公式からの発信だけでなく、以下のツイートのように他者が意図しない形で投稿したものに対する映り込みなどもあります。
【お知らせ】2/3(水)、渋谷駅周辺にて渋谷区及び東京消防庁と連携して、新型コロナウイルス感染拡大防止のために外出自粛への協力等の呼びかけを実施しました。写真は職員による呼びかけの様子です。 pic.twitter.com/JyCjXDFTgi
— 東京都防災 (@tokyo_bousai) February 3, 2021
これまでもOOHは、テレビや新聞に映り込んだものを広告費として価値に換算することがありましたが、SNSでの広がりを広告費換算することでOOH広告に実際に接触した人以外に与える影響や価値を可視化できるようになる時代が来ています。
KitKatの広告が話題に
そんな中、先日以下のような投稿が話題になっていました。
🇺🇸アメリカでバズっているKitKatの広告。ズーム会議だらけの1日にちょっとでも休憩してKitKat食べようというメッセージを面白く伝わってくる。この時代にぴったりで、カスタマーの苦労をよく理解してるよという風にpathosを上手く活用したのではないかと思う。 pic.twitter.com/laMCv2CH7U
— Ananya (アナンヤ) (@hiananyaa) February 18, 2021
この広告でキットカットがターゲットとするシーンがしっかり思い浮かぶ。
— Rui Nishiguchi (@ruipati) February 19, 2021
「Have a break, Have a KitKat.」を体現したアイデアで、ブランドがだすメッセージとして一貫性も感じる。
いいアイデアの広告! https://t.co/owagR1mgN3
海外のKitkatの広告のクリエイティブが面白い!という事でここ数日、Twitter上で広がっていましたが、、、、
この広告、バス停広告に掲出されているように紹介されていますが、実際は世界中のどこにも掲出されておりませんし、何なら、ネスレさんが作ったものでもありません。。。
ではどこから来たかというと、、、イギリスの広告会社で働く、Sam Hennigさんというデザイナーさんが勝手に作ったものなのです。
Gave it a go @BOC_ATM @OneMinuteBriefs pic.twitter.com/hUFktgTgHx
— Sam Hennig (@samhennig) February 13, 2021
この投稿をきっかけに、クリエイティブ/代理店の人がリツイートを繰り返したことで拡散し、盛り上がりに気づいたKITKAT公式アカウントも、良いデザインだね!という事で以下の投稿をした事で、数日後に”広告として”日本まで届いたのではないかと思います。
We love to see consumers embracing the purpose of our break just like @samhennig and @OneMinuteBriefs with this amazing illustration! A reminder to you all to make time for yourself and schedule your break moments in your calendar!🍫 #HaveABreak pic.twitter.com/PNnQ3iYRUe
— KITKAT (@KITKAT) February 15, 2021
One Minute Briefs
では、なぜこの偽物のデザインが生まれたのか。という事を説明します。
これはイギリスのBANK OF CREATIVITYというクリエイティブエージェンシーが行っているOne Minute Briefsという企画に投稿されたデザイン案です。
One Minute Briefsというのは、ツイッター上で毎週お題を掲示し、クリエイティブアイディアを集めて、面白かったアイディアを表彰する。といったものになっています。
(One Minute Briefsにメンションする形で投稿を集めています)
日本の広告賞なんかと同じように、お題は企業が提供する場合もありますが、今回は2月8日に「お気に入りのチョコレートについて教えてよ」というOne Minute Briefsからのお題に対して、先ほどのSam Hennigさんの投稿が上がってきたというのが、実態です。
One Minute Brief of the Day:
— One Minute Briefs (@OneMinuteBriefs) February 8, 2021
Advertise your #FAVOURITECHOCOLATEBARS
Tweet yours to feature in the daily album at: https://t.co/E9OTk01APT
Winners could also be featured at https://t.co/zzrQaO08rQ & https://t.co/ziABkM9YA7 RT pic.twitter.com/vNbt1VchS0
実際には、このお題に対して、Sam Hennigさんは他にもいろんなアイディアをぶつけていました。
Here is just some of the many iterations this has now moved through!! Just thought it might be fun to see some process. @OneMinuteBriefs pic.twitter.com/vgflJY7RfL
— Sam Hennig (@samhennig) February 10, 2021
つまり、1人のクリエイターが勝手に考えたアイディアが、「広告として」日本に届いたわけです。
Kitkatを食べたい人が出てきた
思わぬ形で海を越えた「掲出されていない広告」ですが、日本のTwitterを見ているとKitkatを食べたい!という人も出てきています。
見事な広告…!KitKat食べたくなってきた(単純) https://t.co/eb4kfzIdYm
— Takuya Fukuoka (@t_fukuoka) February 19, 2021
いまの時代にあった広告、いいな。15時から1時間キットカット🍫タイムって最高だな💫明日食べたい。 https://t.co/GOjHnKHAh4
— きぬとーく🗣Kinuyo Ota (@kinutaaaaaalk) February 18, 2021
拡散の発信源となったAnanya(アナンヤ)さんに悪気があったとは思えませんが、実際は掲出されていない嘘広告がSNSで拡散したことで、Kitkatを買う人が出てきてしまったわけです。
デザインが本物かどうかは置いておいたとして、、、この流れは非常に面白い動きだと思っていて、オフライン(OOH広告)での出稿→オンライン(SNS)での拡散→オフラインでの購買。という動きが起こりえることを証明しています。
実際掲出されていないものを掲出されたかのように伝えることは、問題なわけです(これを戦略的にやる場合もありますが)が、OOH広告とSNSが連動することで、消費者の行動にどう影響を与えるのかは、もっと深堀りできる領域だと考えています。
媒体側ができることはあるだろうか?
SNSとOOHの連携、クリエイターにアイディアを考えてもらう。という点については海外の媒体社が非常に意識しているところであります。
その一例として、主要媒体社の多くは、モック作成用のテンプレートを公開し、誰もが自由にアイディアを創出できるようにしています。
日本の媒体社を見ていると、媒体テンプレートをaiデータ等の編集しやすい形で公開している会社はほとんどないと思っています。
OOHは視覚的なインパクトが重要なわけで、プレゼンなどでも実際にクリエイティブを当て込んで語ってもらった方が良いのは間違いありません。
静止画、動画を簡単に入れ込めるテンプレートを用意しておくようなところから始めて、今回のOne Minute Briefsじゃないですが、OOHを多くのクリエイターに身近に使ってもらえる機会を掲示しておくことで、思わぬところで話題を生んだり、広告主やプランナーに想起してもらうきっかけになると思っています!!
ということで、、、、
OOHとSNSの関係性はもっと深堀りできそうだし、クリエイターが遊べる場所を用意しておくと媒体の話題化ができるのでは?!という話を今日は少しバズっていたKitkatの広告と合わせて書いてみました!
いつも読んで頂きありがとうございます!