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【初めての方向け】盆栽の植え替えのやり方
今回は、盆栽の植え替えについて解説します。
植え替えの方法についてはネットのブログや記事、今だとYouTubeなどにもたくさんあるので、そちらも参考にしてみてください💡
※今回、前置きがかなり長くなっていますので、植え替えの方法だけ見たい、という方は飛ばしてください🙇♂️
解説前のご案内
まず始めにお伝えしたいことがあります。
今回解説するにあたり、植え替え日は12/11、the冬!ですが、実は植え替えをするのに適した時期ではありません。
植え替えという行為は、木に大きな負担を与えてしまいます。
その中でも、年間を通して木にとって負担が少なく、かつ回復の早い時期に行うことでダメージを最小限に抑えることができる時期があります。
それが春先(2月後半から3月中旬ごろ)です。
自然界に存在するほとんどの植物は気温の低下とともに活動が低下し、秋ごろから春先までは休眠状態にあります。
気温が高くなるにつれて活動を始めだし、根を張り、新たな葉を出して幹を強く太らせていきます。
盆栽についてもそれは同様です。
また、秋の休眠に入る前に、来年の芽吹きのために栄養を蓄えているため、根の再生力も旺盛です。
よって春先に植え替えをすることは、木へ負担を与えてもそれを上回る回復力があるので、適期とされています。
ではなぜ今植え替えするの?
植え替えの適期についてお話ししましたが、それを差し引いても植え替えをしなければならない理由があると判断し、植え替えをすることにしました。
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少し前に糸魚川真柏の苗木を仕入れたのですが、その中でいくつか、葉の色が黄色や茶色になっている木がありました。
真柏という樹種は常緑樹といって、年間を通して緑色をしています。
それが黄色や茶色になっているということは、何か原因があります。
この色が変わってしまう理由の中でも、例えば
①厳しい冬の霜に当てられて変わってしまう霜焼け
②夏の強い日差しによって葉が焼けたように黄色くなる葉焼け
③「とや」と呼ばれる新陳代謝
などなど、自然の環境によって引き起こされるものと、人の世話が行き届いていなかった際に起こる人的要因の2つに分けられており、このうちの自然環境によるものに関しては、なんら問題はありません。①は春先には改善されますし、②も同様です。
しかし、人的要因となっているものに関しては、改善をしなければ樹勢を落とし、最悪の場合は枯れてしまいます。
今回仕入れた糸魚川真柏は、原産地である新潟の方から取り寄せたので、①の霜焼けの可能性も考慮したのですが、以下の理由から植え替えを行うことにしました。
◼︎植えられたポットから根がはみ出している
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ポットの中で根がギチギチに詰まっていることが予想されます。
◼︎水を与えても、水が底から抜けていかない。抜けるまでかなりの時間がかかる
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根が詰まっている、土が砕けて埋まっているなど、さまざま考えられますが、いずれにしても良い状態ではありません。
この2つの理由から適期ではなくとも早急な改善が必要と判断し、植え替えをすることにしました。
なお、適期以外での植え替え時には、その後のケアがとても大切です。
植え替えを初めてやる、という方や不安を感じる方は適期まで待ちましょう🤝
お待たせしました。では植え替えのやり方の解説です🙇♂️
植え替えの手順
詳しく書いているため長く感じるかもしれませんが、やること自体は簡単ですので、参考になれば嬉しいです☺️
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まず必要な道具は、左から鉢底ネット、アルミ線、ハサミ、ペンチ、箸、そして用土と鉢底石、最後に植え替えするための鉢になります。
画像上にある白い入れ物は鉢に土を入れやすくするためのものです。
それぞれの道具の使い方は順にご説明します。
いずれもホームセンターなどで安く買えますし、一度買えば長く使えるものですので、揃えておいて損はありません。
※なお、やっとこや針金切りなど専門の道具もありますが、専門の道具でなくてもまったく問題ありません。
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それではポットから盆栽を取り出します。
もしポットや鉢の下に針金がかけられて、木と鉢が固定されていた場合は、無理に木を外そうとせず、先に針金を切ってから外してください。
ポットから外す場合は、外側から指で土をほぐすように押してあげると取れやすくなります。
取り外しました。かなり根が詰まっていますね。
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補足ですが、白い根は出来たばかりの根、黒い根は古い根で、場合によっては腐っていることもあります。
ではここから箸を使って周りについた土を落としながら、絡まった根をほぐしていきます。
箸は菜箸でも割り箸でも大丈夫ですが、根や幹に出来るだけ傷を付けないように、先が丸いものを使用しましょう。
ほぐす際は木の中心から外側に向かって、優しく捌いていきます。
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これも取り除きます。
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根が片方に偏って伸びていますね。
長く伸びすぎたところをハサミで切り落とします。
これには、先の方にある古い根を落とし、新しく元気のある根を出させるためです。
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盆栽は太い根を1本走らせるのではなく、細かい細い根をたくさん生やす方が良いです。
また、今回水捌けをお見せするために植え替え前に水をやりましたが、植え替え前は土が渇き気味の方がやりやすいです。
植え替えに入ります。鉢と針金、鉢底ネット、ハサミを用意します。
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なお、固定用の針金は太いものを使うと水捌けの穴を塞ぐことになるため、できる限り細い方が良いです。ですが、後述する木の固定方法によってはある程度の強度も欲しいので、1.5mmくらいの針金がベストです。
(私は今回見やすいように2mmのものを使用しました)
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サイズもちょうど良いですね。
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このように折り返して使うので、気持ち長めにカットします。
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この針金と木を縛り付けて固定するのですが、針金を締め付ける際に下のネットが浮いたり、剥がれてしまうことがあります。
それを防ぐために鉢底ネットに使用する針金は少し太めのものの方が良いです。
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今回は駄鉢なので向きはありませんが、観賞用の鉢に植え替える際は木と鉢の正面を決めてください。
一度固定すると早くて来年、次の適期を待つと2年植え替えが出来なくなるので、自分が良いと思う場所を探ります。
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この際に木がぐらぐらするようであれば固定が甘いので、もう一度締めてあげます。
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この土の量を覚えておいてください。
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お箸を使って、土をサクサクさしていきます。
今はまだ土の中に空間がたくさんあり、根の周りがスカスカです。この空間を埋めるように土を中に送り込みます。
この時に根を切ってしまわないように優しく。
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さて、最後の仕上げです。
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そしたらサッと水を離して→
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水をあげる→水が張る→サッと離す→水が抜けていく→また水をあげる
というのを2〜3回くらい上げてもらえれば十分です。
もう一つの目安として、鉢を地面に置いていると分かりづらいですが、鉢を持ち上げて水を上げれば、抜けていく水が茶色→透明になるのが分かりやすいです。透明になればOKです。
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お疲れ様でした!
盆栽は、木のサイズよりも一回りも二回りも小さな鉢に入れて観賞することが美徳とされており、その限られたスペースの中で成長していきます。
ゆくゆくは鉢の中にパンパンに根が伸び、根詰まりという現象を引き起こします。
根詰まりを起こすと、水捌けが悪くなるだけではなく、根が栄養を取ることが出来なくばかりか、呼吸も出来なくなってしまいます。
植え替え頻度は、鉢の大きさや樹種、樹齢などにもよって変わりますが、若い木など成長が早い木は1〜2年ごとに植え替えが必要になります。
(樹齢の長い木であれば3〜5年を目安に)
育てている盆栽が1つだけなら管理もしやすいですが、複数育てようとしている方は、毎年初春には慎重に木を動かし、根が鉢の回りまで巻いて詰まっていないか確認するようにしましょう。
もし根が巻いて土がほぼ見えないような状態の場合は植え替えをしてあげてください。
また、必ずしも木が大きくなるにつれて鉢を大きくしなければならないのかというとそうではなく、木のサイズをこれ以上大きくしたくない場合は
根の整理を目的として鉢から出し、古い根を切る→土を新しい新鮮なものに変えて同じ鉢に戻す、というだけでも全く問題ありません。
同じサイズであっても、年数を重ねるにつれて幹も太くなり、肌も荒れて、枝葉も増えて見応えが増します。
今回は植え替えについてのお話でした。
よい盆栽ライフを!