ほのぼの日常系エッセイ        今日も本屋に参ります

 『麦チョコアーティスト』
 こうして仕事をうまくかわしながらツイッターやってると、色々へんてこな人たちと繋がりができるのだけれど、まずはそのお話から。
 創作についてのお話などして自分でも書いてみようかなと思い立ったが吉日、早速書き上げたものをのっけると、褒めてもらえたりけなしてくれちゃったり、沢山の反応が頂けて実に楽しく日々を過ごしていて、そんなある日、ふとDМに良く知らない人からのメッセージを発見する。まあこちらもフォローしてる相手なので、そんなに変な人でもなかろうと、メッセージを開いてみたら、「どうぞ」の文字のあとにリンク先の青文字。一瞬、嫌な予感はしたのだけれど、クリックしてみる、げ!。
 一瞬真っ白に爆発した画面の中央、もぞもぞ動く黒い粒々のようなものがもこもこと湧いてきて、それが渦を巻くように画面外側に向かって拡散していく。スピーカーからは小さく「麦チョコ麦チョコ麦チョコ麦チョコ」と可愛い声がして、あー麦チョコなんだねと納得はする。マウスもキーボードも反応しないので、仕方なく強制終了。画面は黒くなったけど、まだ声は続いている。
「麦チョコ麦チョコ」
 仕方ない。本屋さんに行ってくる。

 モノクロ連雀通り
 僕の良く行くブックオフの一軒は武蔵境の方にあって、連雀通りに面してる。とりあえずそこに行くことにして、車に乗った。
 時刻的に夕日に向かって走るような塩梅、オレンジ色の光がまぶしくて仕方がない。シェードを下ろしてもあんまり変わんないので、
ダッシュボードからおもいでキャンデーを取り出し、口の中に放り込む。味はしょっぱくておいしくはないのだけれど、見る見るうちに風景が色褪せていき、まるっきり彩度も下がった白黒写真のような町の感じに。
 さあ、急ごっと。

 異世界依存症
 読みもしない本を次から次に買ってどうするのって、それはかみさんにも良く言われるのだけれど、自分だって履きもしないジーンズ、タグもついたままの奴いっぱい持ってんじゃんと思うのだ。今日だって飲みもしない牛乳が冷蔵庫の中でなんとなく固形化していたではないか。その点、本は大丈夫、間違ってもチーズにはならない。
 安物の書架の棚が重みに負けてぐんにゃりと曲がっているのを見ると、なんだか空間が曲がっていくような気がして、そこからどこか知らない世界に行けそうだなと思っている。

 敗北の理髪店
 今日はそんなに欲しい一冊に出会わなかったので、何となく目についた奴を数冊購入する。で、そのうちの二冊が既に持っているダブりだったことは内緒だ。
 床屋で髪を切ってもらっていて、「後ろこんな感じです」、なんて鏡を渡されて何となく髪型をチェックした時の、あの失敗感と似ているのだけれど。

 チャンネル将棋
 そう言えば僕の仕事車は今ラジオが壊れていて、どのチャンネルにしてもがーがーノイズしか聞こえない。ちょっと予感があって、試しにスイッチを入れる。案の定、「麦チョコ麦チョコ」と聞こえてきて、慌ててスイッチを切る。
 王手って感じた。

 廃人微妙
 まあ、こんな風に過ごしている。多分満ち足りた生活なのではないかと、自分では思っている。出来ればもう少しツイッターの時間を減らそう。ポケモンGOでTL50を目指さなければならないので。

 ドロドロの六時間
 そして帰社。
 パソコンはひっそりとしている。動作音もしないし、麦チョコの声も聞こえない。安心して電源スイッチを押す。CDのトレイが急に開き、そこから、沢山の麦チョコが辺りに跳び跳ねまわる。チョコレートの甘い香りが充満していく。どんどんどんどんたまっていく。僕の机の周りに山のように麦チョコが積もっていく。あ、本もこういう事なのか、とのんきに考える。
 ボーっとしてたらもう二十二時。とろけた時間を過ごしてた。帰る。

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