見出し画像

私の環境研究ことはじめ #2 環境も平和も守るために、私たちができることは?(インターン生 平田乃愛)1/2

小倉亜紗美さん(GEN世話人、呉工業高等専門学校准教授)

 インターン生によるインタビュー、「私の環境研究ことはじめ」。第2回目は小倉亜紗美さん(呉工業高等専門学校 准教授)にお伺いします。
   小倉さんには、GENチャンネルの聞き手としてGENの活動を支えていただいています。GENのnoteでは、小倉さんの執筆されたメールマガジンのアーカイブを読むことができます。

■ 環境活動に取り組み続けた学生時代

―環境活動に関わるようになったのはなぜですか?
 中学1年生のときに阪神・淡路大震災が起こり、実家の兵庫県西宮市で被災したことがきっかけです。西宮市も大きな被害を受けたので、親戚などに助けてもらいました。その恩を返すため、将来は社会の役に立つ人になりたいと思ったんです。
 その後、和歌山工業高等専門学校(以下、和歌山高専)の機械工学科に入学しました。そこで環境福祉ボランティアサークルamoebaに入り、環境保全の活動に参加したことで、環境について学びたくなりました。和歌山高専卒業後は、広島大学に編入学して環境について勉強し、川の水質の研究をしていました。今も環境保全の研究や活動を続けています。

―amoebaでは、どういった活動をされていましたか?
 海岸清掃や森林ボランティアの活動を中心に行っていました。実は日本の山では、植林よりもツル植物や下草を取り除く除間伐が必要です。
 また、和歌山県にはマツの防潮林がたくさんあるので、マツ枯れの防止も行っていました。枯れたマツを放置していると、そこからマツノマダラカミキリが出てきて他の木に移ってしまいます。マツノマダラカミキリは、マツ枯れの原因であるマツノザイセンチュウを媒介します。なので、その木を燃やしてマツノザイセンチュウを駆除していました。

―GENとつながったきっかけを教えてください。
 amoebaでお世話になった先生がGENの会員で、和歌山高専を卒業するときにGENを紹介していただき、入会しました。その後は広島に住み始め、広島で行っていた環境保全活動が忙しかったので、集まりにあまり参加できていませんでした。しかし新型コロナウイルスの影響でオンライン化が進み、広島からも参加しやすくなったので、最近は参加しています。

■ もうひとつのお仕事、国際交流について

―大学院卒業後は、どんなお仕事をされていましたか?
 広島大学国際センターで、留学生支援と留学プログラムを5年担当していました。その後、広島大学平和センターにも5年勤めました。
 平和というと、被爆地“ヒロシマ”を連想される方が多いです。もちろん人類史上重要で衝撃的な出来事ですが、他の事柄が見えなくなっているのではないかと思います。私は環境を専門にし、留学プログラムの仕事をする中で、環境保護が平和につながるのではないかと考えるようになりました。
 平和センターでの5年の任期の後は、現職の呉工業高等専門学校で働き始めました。

▶︎小倉さんの考える環境と平和については、こちらから

―留学生支援のお仕事の詳細を教えてください。
 広島大学では、留学生が1,000人を超えたころからトラブルが生じやすくなり、その対処が仕事の一つでした。私は学内の国際交流を活発にするため、国際交流のイベントや交流を促す仕組みを作っていました。友達ができることで、困ったときに悩みを相談でき、留学生の孤立を防ぐことにもなります。トラブルも起こりにくくなるので、同時に留学生支援策にもなっていました。日本人学生も、せっかく留学生が同じキャンパスにいるのに、交流しないのはもったいないです。なので国際交流活動の第一歩として、国際交流のランチパーティーを毎週開催しました。そこが留学生だけでなく、日本人学生からも相談を受ける場になりました。

―国際交流の場でも活躍されてきたんですね。
 国際交流を仕事にしていて、留学生の子どもたちが、保育園や幼稚園(以後、保育園等)でどのように過ごしているのか気になっていました。そして、自身の子どもが保育園に入園したとき、大変な状況に気づきました。先生たちは基本的に日本語で会話をするので、外国にルーツを持つ親子と話す際、コミュニケーションをとるのが難しいんです。例えば、子どもが病気になったことや、食物アレルギーがあることが伝わらなかったら恐ろしいですよね。それらをジェスチャーだけで伝えているのを見て、危機感を抱きました。
 そこで、保育の現場で何が起きているのかを知るため、アンケートを取ったんです。それをもとに、指差しでコミュニケーションができるシートを作りました。シートには、イラストと“やさしい日本語”、英語、中国語の3言語を書きました。そしてそれを保育園等に配布しました。

―国際交流のお仕事をする中で感じた課題などはありますか?
 技能実習生や旅行客など、日本に滞在する外国人の方が増えていますよね。しかし緊急事態が発生したとき、電車や空港などでは、日本語でしかアナウンスされないことがまだ多いです。日本語が理解できない方は、不安なまま過ごすことになってしまいます。その事態に備えて、簡単な英語や、“やさしい日本語”でのアナウンスをある程度準備しておく必要があると思います。先ほどの指差しシートなどもあれば、災害が起きて電気が止まってしまっても、すぐに使えますね。

(2/2に続きます)


いいなと思ったら応援しよう!