岸辺露伴 =LOVEを知る Part.2

夢を見ていた。

これはいつの記憶なのか。

あの子はとても歌が上手かった。
あの子の声が好きだった。

いつからだろう。
忘れかけていたのは。

「君の好きな声でいたいな」

顔ははっきりと思い出せない。
それ故か夢に出てくる君もどこかぼやけていた。

頭に残っているのは一言の言葉と声。

また会えたらと思うのは我儘なのだろうか。






次の読み切りの内容は何となく思い浮かんでいた。

アイドルが好きな主人公。
そしてその愛が力として具現化し何らかのアクションを起こす。
少年漫画にアイドルのエッセンスを入れるといった所だろうか。

主人公たちの力の源泉を考えるにあたっては、
どうしてもアイドルオタク、彼ら彼女らの生の声や情熱が欠かせない。

「泉君、この前話した3グループの中でおすすめは?」

=LOVE、≠ME、≒JOY。
3つの姉妹グループは同じプロデューサーが仕掛けながらも、
そのファン層の男女比率に大きな違いがある。
また、音楽性だったり何がテーマであるのかまでも違う。
なかなか凝った趣向だと思うわけだが。

「私は断然、”イコラブ”ですね!みんな本当に可愛いんですよ!!
何より女の子のファンがとっても多いんです。それからですね、、、」

「もういい、語りだすと止まらない口か。君もこの”イコラブ”のコンサートやイベントには行くのか?」

この後も彼女の熱弁は結局止まらなかったが、
これもある意味”リアル”を味わう一環。

泉君のおかげというべきか今日一日でイコラブどころか、
姉妹グループまでそこそこの知識を得ることができた。

知り合いのツテを何とかたどり、
イコラブの対面お話会の参加権に漕ぎ着けた。
ほぼ1日を使い、10人のメンバーと会話するわけか。
それも短いと数秒だとか。
一体何を話すというのか。

会話のネタを考えるべく、
僕はさらなるリアルを欲した。

対面お話会まではあと2カ月ある。
それまでに各メンバーのファンにでも取材してみようか。

50音順で行くと最初のメンバーは、
”大谷映美里”か。


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