もしもの世界で Part.3
”だからとて”が紡いでいく、
僕らの別の可能性。
一つのボタンの掛け違いで起こる可能性のあった、
一人の青年の物語。
β世界線の君へ
それから野口君の毎日は少しずつ色めきだす。
真っ白なキャンバスを好きな色で目一杯に埋めるように。
ぽっかりと空いた穴をふさぐように。
彼の青春という名のジグソーパズルには、
ピースが毎日の様にはまっていく。
疑似体験だっていい。
本物じゃなくたっていい。
僕には音楽がある。
推しがいる。
「ああ、なんて素敵な世界なんだろう。」
現実というのはいつも残酷だ。
僕はまた見栄を張ってしまった。
僕の切なる願いは、
現実という凶器に無残に切り刻まれていく。
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