Prologue
M県S市杜王町 某月吉日
正直に告白しよう。
今、この岸辺露伴はかなり焦っている。
この人生において、未だ触れてこなかったコンテンツをネタにしようとしていたのだ。
世のエンタメというエンタメはほぼ総てに精通している自負があったが、
これが単なる傲慢だったことに気が付くのに時間は要さなかった。
泉君からこの話を受けたとき、
頭の中に浮かんだのはマイナスなイメージばかり。
漫画家として、イチ人間として恥ずべきことだろう。
常にリアルを追い求めそれを読者に漫画として届ける、
この岸辺露伴の才能を自ら否定する行為だ。
僕は今一度、誇りのために未知に挑もう。