岸辺露伴 =LOVEを知る Part.1
いつものように泉君が押し掛けてきた日だった。
「露伴先生!次はアイドルですよ!アイドル!」
何を言い出すかと思えば。
まぁここ数年、アイドル文化の勢いたるや。
10数年前には地名を冠するアイドルグループが名を馳せ、
今や国民的ともいえるグループもあるくらいだ。
僕も名前や代表曲くらいは知っている。
「急すぎるな。で、何が次はアイドルだって?」
どうせ次の読み切りか何かだろう。
そう予想して彼女に問いかけてはみたものの案の定、
「次の読み切りですよ!最近はどこもかしこもアイドルすごいじゃないですか!」
だろうな。
確かに、僕の漫画に今までアイドルが出てきたことはなかった。
描いたこともなかった。
興味がなかったわけではない。
所謂アイドルオタクという人々はなぜあそこまで熱狂するのか。
何が彼らをあそこまで駆り立てるのか。
僕は非常に興味が湧いてきたぞ。
彼らのリアルを知りたい。
彼らの情熱を体験したい。
この話を受けるのに、珍しく僕は二つ返事だった。
「いいだろう。僕も気になっていたところだ。詳細については後日話そう。じゃあな。」
「ちょっと露伴先生!アイドルといっても色々ありまして」
バタン!!!
いつものようにドアを締め彼女を追い払った。
何かないか。
彼らを生で感じる機会は。
ライブやコンサートではない何か。
調べていくうちに、3つのアイドルグループにたどり着く。
=LOVE
≠ME
≒JOY
元は国民的アイドルだった人物が仕掛ける3グループ。
なるほど姉妹グループなのか…。
柄にもなく特定の事物への調べ事に夢中になっていた。
対面お話会。
普段映像やコンサートでしか見れないアイドルと面と向かって話すことができるってわけか。
此処しかない。
此処でしか味わえないリアルがある。
確信した僕はこの催しに参加することにした。
「泉君、僕はこのアイドルのイベントに参加しようと思う。」
この岸辺露伴、必ずアイドルを漫画にしてみせるぞ。