鬼滅の刃最終巻発売。
ついに「鬼滅の刃」最終巻が発売された。
電子書籍派にとってありがたいことに、Kindleでも発売日に買うことができた。
コロナ禍だからこその対応だろうが、他の作品も追随して欲しい取り組みである。
閑話休題。
最終巻のネタバレはしないように気をつけたいと思うが、感想はとにかく泣けた。
ストレートに泣けた。なぜなら、直球ストレートな豪速球が投げ込まれたからだ。
敵である鬼にも悲しみがあり、善悪を切り分けず曖昧にした哲学的な方向性もあり得たのかもしれないが、鬼舞辻無惨という畜生のおかげで、勧善懲悪、ジャンプの王道路線を突っ切ることができたのだろう。
作者は本当に真面目な方なのだと思う。戦いの一つ一つの描写、戦うもの達の心情を丁寧に言語化している。そして、クライマックスのその後もしっかりと描き切った。
ともすれば、エピローグは蛇足とされる向きもあると思う。描かないことが潔しで、芸術性を高めることになるというのは一理あるところであろう。
しかし、鬼滅は違った。しっかり描くことで、ストレートな豪速球が胸に突き刺さった。王道がやり尽くされ変化球が多くなった昨今に於いて、それが清々しく、輝いて映った。
ただ王道を模倣したのではなく、王道の現代的なアップデートとして、近年増えている情報量の多い漫画の系譜もしっかりと抑えているのだが、それはうんちくの多さではなく、心理描写にあてている点が白眉である。
文によって作品を高めるのは漫画も含めた書籍の特権。私はアニメの絵力が大ヒットを呼び込んだと思っており、それはある程度正しいと思っているが、漫画だからこその説得力を原作が持っているからこそ、アニメと漫画が相乗効果を生んで、未曾有の社会現象を引き起こしたのではないだろうか。
次はまたアニメ側がアンサーをする番である。
テレビか映画か分からないが、期待して待ちたい。