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メタボリックシンドロームと漢方治療3 −高血圧について−

今回は、肥満、高血圧、高脂血症、高血糖というメタボリックシンドロームの疾患のうち、高血圧についてお話します。

 高血圧のほとんどは原因不明の本態性高血圧症といわれるものですが、甲状腺機能亢進症や腎血管狭窄などの病気のために高血圧になっている二次性高血圧もあります。どのようなものを高血圧と呼ぶかについては、WHO(世界保健機関)の基準が広く使われています。それによると、高血圧は下記の表のように3つに分類されます。

収縮期血圧(最高血圧) 拡張期血圧(最低血圧)

140〜159mmHg 軽度 90〜99mmHg

160〜179mmHg 中等度 100〜109mmHg

180mmHg以上 重度 110mmHg以上

 最近では最高血圧が140mmHgを超えると、日本の医療機関では降圧剤が処方されるのが一般的ですが、高血圧は生活習慣病ですので、まずは食事や運動など生活習慣を正すことが大切です。

 漢方医学では血圧を下げるだけでなく、体質を改善し、血液をさらさらにして合併症の予防を行うことも重視しています。

 高血圧は、肝火型(かんかがた)、肝陽上亢型(かんようじょうこうがた)、肝腎陰虚型(かんじんいんきょがた)、気滞淤血型(きたいおけつがた)、痰淤互阻型(たんおごそがた)の5つのタイプが多く見られます。

 肝火型はストレスが多く怒りっぽい方に多く見られます。竜胆瀉肝湯(りゅたんしゃかんとう)や柴胡加竜骨(さいこかりゅうこつ)牡蠣湯(ぼれいとう)などが効果的です。

 肝陽上亢型はのぼせやめまい、頭痛を伴うことが多く、中年以降の方に多く見られます。釣藤散(ちょうとうさん)や降圧丸(こうあつがん)などが効果的です。

 肝腎陰虚型は慢性に経過した高齢者に多く見られます。杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)に降圧丸を併用すると効果的です。

 気滞淤血型は血流が悪く、血液ドロドロの方で、多くの高血圧の方に見られます。冠元顆粒(かんげんかりゅう)や通導散(つうどうさん)などが効果的です。

 痰淤互阻型は肥満で血液ドロドロの方で典型的なメタボリックの方に多く見られます。冠元顆粒に大柴胡湯(だいさいことう)や温胆湯(うんたんとう)を併用すると効果的です。

 血圧が高い状態が続くと、正常血圧の人に比べ脳梗塞、心肥大、心筋梗塞、狭心症、腎不全などの血管の動脈硬化による合併症が発生しやすくなります。体質に合った漢方薬を服用して、根本から体質改善を行いましょう。

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