生薬百選 88 黄耆(オウギ)
黄耆はマメ科のキバナオウギ又はナイモウオウギの根を乾燥させたものです。キバナオウギは、夏になると、写真の様に総状花序(長く伸びた花軸に花柄が間隔をあけてつく形状)の黄色い花を咲かせます。この花が咲いた後は、かわいらしい豆果をつけます。秋にゴボウ状に真っすぐ伸びた根を掘り出し、頭根部と枝根を切り去り、日干しして乾燥させたものを生薬として用います。
黄耆の「耆」には長という意味があり、色が黄色で補薬(体力を補うために用いる薬)の長という意味で呼ばれているそうです。栄養ドリンクに用いられることも多い生薬の1つです。主な成分としては、フラボノイド、サポニン類、多糖類などがあります。滋養強壮薬として人参と並んで称されており、漢方では一緒に配合されることも多く、体力や免疫力を高める漢方処方の基本となっています。代表的な処方として、十全大補湯や補中益気湯などがあり、最近ではがんの治療(抗がん剤の副作用軽減)にも用いられています。
先日、韓国に行く機会があり、伝統茶の一種である「十全大補湯茶」を飲んできました。香りはシナモンが強く感じられ、味はほんのり甘く、少し苦味を感じました。辛いものを食べすぎて疲れていた私にはもってこいのお茶でした。朝鮮半島では、高麗時代まで仏教文化とともに茶葉を使ったお茶が飲まれていましたが、李氏朝鮮時代の儒教文化への移行時に、果実、穀物、野草等を利用した伝統茶の文化が発達したそうです。現在もソウルの街を歩けば伝統茶を楽しめる喫茶店がいくつか見られ、その中で黄耆の入った伝統茶を飲んで元気をつけることができます。
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黄耆(オウギ)
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