
データで選ぶベストイレブンの面白さとは?:J STATS REPORT 2024感想 vol.2
Morph (https://www.morph-data.io/ja) というプロダクトで事業開発を担当している大道です。Morphを通じて、スポーツ分野におけるデータ活用の壁を取り払い、現場の意思決定をよりデータドリブンに進化させる仕組みを提供したいと考えています。
J STATS REPORT 2024が公開されたことを受け、スポーツ×データに関わる立場として、感じたことや考えたことをまとめてみました。
今回は、データで選ぶベストイレブンについてです。
「データで選ぶベストイレブン」はどう決まる?
毎年注目を浴びるベストイレブンですが、J STATS REPORT 2024では、「データで選ぶベストイレブン」が選出されています。
選出方法としては、
本章では、J STATSを基に選出したベストイレブンを紹介する。ポジションごとに複数の評価テーマと関連するスタッツを定めてスコアを算出し、評価テーマごとの重要度を掛け合わせたトータルスコアの高い順に選出している。対象選手は各ポジションで総試合数の半分にあたる、19試合以上に先発出場した選手とする。 なお、このスコアはあくまで対象選手内の傑作度を測るためであり、選手の優劣をつけたり、異なるポジションの選手と比較したりするものではない。
としています。
結果として、公式発表のベストイレブンと「データで選ぶベストイレブン」の両方に選ばれたのは、中谷進之介選手、マテウス・サヴィオ選手、武藤嘉紀選手の3名でした。
この「データで選ぶとどうなるか?」という視点は、スポーツ×データの観点から見ても非常に興味深いポイントです。
データで選んだベストイレブンに共通する特徴とは?
データが明かす”見えにくい貢献”の価値
データは客観的な事実を示します。派手なゴールやアシストは観る人の印象に残りますが、データを活用することで試合ごとの積み重ねが可視化され、貢献度がより明確になります。
そのため、「データで選ぶベストイレブン」の選手たちは、必ずしもハイライトに登場するようなプレーをしているわけではなくても、シーズンを通じて高い貢献を続けた選手が選ばれる傾向があります。
データ分析で見えてくる、新たな評価基準
従来のベストイレブン選出は、印象に残る活躍や選手の評価を総合的に判断する傾向があります。一方で、データに基づく選出では、定量的に測定できる貢献度が重視されるため、新たな視点が生まれます。
公式のベストイレブンと異なる顔ぶれが選ばれるのは、この違いがあるからです。
「データで見るとジャーメイン良選手が入ってくるのか」 「感覚的には森田晃樹選手もすごかった」
こうした視点の違いを知ることで、サッカー観戦がより奥深く、楽しくなると思います。
データと感覚、どちらが「正しい」?
数字だけでは測れないプレーの本質
データは強力な分析ツールですが、それだけがすべてではありません。試合の流れや、選手同士の連携、チーム戦術といった要素は、数値だけでは完全に表現しきれない部分もあります。
例えば、データで高評価の選手が必ずしも「最も印象的な選手」とは限りませんし、逆に、数字では見えにくい部分でチームを支えている選手もいます。
データは「新しい視点」を提供するツール
したがって、データは「正解」を示すものではなく、あくまで新しい視点を提供してくれるものだと考えます。データ選出の結果は、選手のプレースタイルや戦術的な役割を補完し、これまで見逃していた部分に光を当てます。数字で評価される選手と感覚的に優れた選手のギャップを知ることが、サッカー観戦の新たな楽しみ方につながります。
データが示すのは、単に結果だけではなく、選手一人ひとりの価値をより深く理解するための手がかりです。それが、これまで見逃されていた素晴らしさを発見するきっかけとなると思います。