
感動は仕事に必要か?
■ はじめに:感動は“仕事”に必要か?
「仕事はお金を稼ぐためだけに行うのか?」
この問いはよく論争にあげられているが
生活をしていくための手段であるが、それだけではないという
のも多くの人の事実だと思う。
いま、働かなくても最低限暮らしていける人が増える中で、
仕事に強いやりがいや充実感を求める人は間違いなく増えている。
仕事を通して、やりがいや充実を感じる
つまり、仕事で感動することで
人は働くことへの充足感を大きく得ることができる
しかし
「働くことに感動は必要なのか?」
という問いに答えられる人は意外と多くない。
そして、本当に必要なのかを
しっかりと自分も言語化して説明できていない
ので考えてみたいので文章を書いていく
■ PART1:なぜ働くことに感動が大切なのか
なぜ、働くことに感動が大切かを考えるために
3つのトピックを使って解説していみる
1.1 内発的モチベーションが高いと成果が向上する
働く以上、成果は必ず求められる
そして、成果が向上することは
個人にも組織にも重要な要素である
だからこそ、感動が成果に繋がることがわかれば
働くことに感動が大切という証明になる
働くうえでの感動は
「自分の仕事に意味や価値を感じる時」
「会社や仲間との絆をかじる時」
「顧客が喜び感動するのを体験した時」
などに生まれる
まさに、そういった感動を感じていくと
内発的なモチベーションは向上していき
エンゲージメントも必ずあがっていく
そして、エンゲージメントが上がれば
生産性や利益はあがる
Gallupのエンゲージメント調査
世界的な調査会社Gallupによれば、エンゲージメント(仕事への熱意や愛着)が高い社員はそうでない社員と比べ、生産性が14%、利益率が21%向上するというデータがある
さらには、ポジティブ心理学の分野ではポジティブ感情が生み出す拡張効果
も注目されている。
ポジティブ心理学の「ブローデン・アンド・ビルド理論」によると、感動や喜びなどのポジティブな感情は、人の思考・行動の幅を広げ、新しいアイデアや学習意欲、人間関係の形成を促進するとのこと。
このような状態は確実に生産性を向上させていく
1.2 感動はチームの一体感を生み出す
次は、感動はチームビルディングに繋がり
チームとしての生産性を高めていく
チーム力の高い企業は
生産性の向上はもちろんのこと
個人の働きがい、成長、挑戦に繋がり
結果として企業の魅力に繋がり
定着率と採用力の向上にも繋がっていく
チームが一体感が生まれるために
大きなプロジェクトの達成や仲間の助け合いなど
共に困難を乗り越えた瞬間には強い感動が生まれ
それがチーム全体の“やればできる”という自信や連帯感へとつながり
離職率低下や顧客満足度向上といった成果にも結びつきやすくなる。
そして、そういったチームになればなるほど
心理的安全性が高い職場ほど、人が素直に感動や喜び、感謝を表現できるので、結果としてチームワークが強化されるという好循環が生まれていく
1.3 自己実現や成長意欲を支える
続いて、働く中で感動が生まれることで
自己実現や成長意欲を支えるモチベーションに繋がる
感動体験は、単なる「作業」ではなく
自分が「成長し、社会や誰かに貢献している」と感じさせてくれる
人はそう感じられる時に大きなやりがいを得る
達成の瞬間に込み上げる感動は
その人の次の挑戦を促す原動力ともなる
モチベーション理論の1つである
**自己決定理論(Self-Determination Theory)**でも
人は「自律性」「有能感」「関係性」が満たされるときに
最も高いモチベーションを発揮するといわれている
感動体験は、その“有能感”と“関係性”を強く刺激してくれる
お客様との感動や自分の設定した目標を超えた体験は
有能感に繋がり、仲間との感動の共有は関係性を
大きく刺激してくれる
このように感動は働くうえでとっても大切な要素である
しかし、働くことに感動はいらないのではいか?
と感じる人も多いのも事実である
そこで、よくある反対意見を考えてみることで
より納得度を高めてみたい
■ PART2:よくある反対意見とその背景
「仕事はお金のため。感動は本質ではない」 反対者の主張として、仕事は経済活動であり生活の糧を得るためのものそこにいちいち感動を求めるのは無駄、もしくは甘い考えだという意見 ⇒背景:賃金や待遇が不十分な環境で、“やりがい”だけを強調しすぎるとやりがい搾取に繋がる懸念がある。
「感動は一時的。長続きしない」
反対者の主張反対者の主張反対者の主張 感動はその瞬間は盛り上がるが、すぐに冷めてしまう。一過性の興奮に過ぎず、業績には直結しないのではないか。 ⇒背景:演出過多なイベントだけで感動を煽り、普段の職場環境が改善されないケースへの不満。
「感情の操作や強要は逆効果では?」
反対者の主張反対者の主張反対者の主張 企業が無理やり感動イベントを仕掛けるのは、従業員をコントロールしようとしているようで不快。また、押し付けられるとシラケる。 ⇒背景 そもそも感情は個人の内面の問題。強制しようとすると不信感を招く恐れがある。
このような意見は理はあり、無視するわけにはいかない
だからこそ、反対意見に対して反論を考えてみたい
■ PART3:反対意見への対応と“感動”の正しい取り入れ方
仕事は金銭的報酬がベースであることは当然
だからこそ適正な評価や待遇が必須ですある。基本的条件(給与・労働環境)が整っていない中で「感動」という概念を持ち出すと、やりがい搾取や感情コントロールへの不信感を抱かれる。
しかし適正報酬+感動があれば、人はさらに高いモチベーションや創造力を発揮できることは、先ほどのデータや事例などから明らかになっていることも間違いない。
一過性で終わらせない“仕組み”を作る
年に一度の華やかなイベントだけで“感動”を演出しても、日常の仕事に活かされなければ意味はない。だからこそ一過性で終われない仕組みを作り、さらには日々に落しこむことが重要
小さな成功や貢献に対して、こまめに称賛や感謝を伝える・1on1で個人の成長を共有するなど、普段のコミュニケーションをアップデートすることが大切。そうすることで感動は持続的な組織文化へと変わっていく。
感情の押し付けではなく、個々の内発的モチベーションを引き出す
「喜べ」「感動しろ」という指示は逆効果。リーダーがすべきなのは、メンバーそれぞれの価値観や目標を理解し、その力が発揮できる環境を整えることである。
たとえば、ある人は「人をサポートすること」に喜びを感じるかもしれないし、別の人は「新しい領域に挑戦し、スキルを身につける」ことに燃えるかもしれない。それぞれに合った役割や目標設定が、“自走する感動”を生み出す。
こうやって考えていくことで
・適正な労働環境の整備+感動は効果的
・感動を押し売りではなく体験を設計すること
が重要だと感じる。
では、リーダーは感動をどうマネジメントに活かすべきなのだろうか?
■ PART4:リーダーが感動をもってマネジメントすることの重要性
4.1 リーダーの熱意がチームに伝播する
率先垂範がカギ
リーダー自身が仕事や目標に対して「これを実現できたらすごいんだ」「このプロジェクトは社会にこんな価値をもたらすんだ」とワクワクし、その“本気”を言葉や行動で示すと、チームは“なんだか面白そうだ”と感じやすくなる。 事例:スターバックスの理念浸透
スターバックスは「コーヒーを提供する」こと自体よりも、「人々のコミュニケーションの場を提供する」理念に共感するリーダーたちが自発的に店舗スタッフを巻き込み、結果的に高い顧客満足とブランド力を得ている。
4.2 チームの連帯感が高まり、業績にも好影響
感動によるエンゲージメント向上が、離職率低下や顧客満足度上昇に直結する例は数多くある
具体データ:エンゲージメントと業績
「働きがいのある会社ランキング」上位の企業は、総じて離職率が業界平均より20~30%低いことが報告されています。これらの企業では、感謝や喜びを共有する文化を重視している傾向が強い。
4.3 部下の成長を促す
挑戦を後押しし、成功体験を共有
リーダーが積極的に部下の挑戦をサポートし、その成功や学びをチーム全体で祝福することが感動を生み、部下の“もっと成長したい”という欲求を刺激している。プロセスを認める
結果だけでなく、そこに至る努力や失敗からの学習をリーダーがきちんと認めることで、行動と感動もリンクされ、部下は自分の成長を実感しやすくなり、さらに高い目標へ挑戦する意欲が湧く。
■ 結論:感動は「仕事を彩り、成果を高めるエネルギー」
働くことへの感動は、単なる“情熱”や“感情論”にとどまらない
適正報酬や評価制度、心理的安全性といった前提条件がしっかり整えられた上で、リーダーが感動をマネジメントに取り入れると、個人の内発的モチベーションを高め、チームの結束力を強め、企業の業績向上につながる反対意見にも十分に配慮しつつ、選択肢を広げる
もちろん「仕事はあくまで生活の糧」「感情など持ち込まず合理性を追求したい」という働き方を否定する必要はありません。ただ、感動を取り入れたい人や組織にとっては、得られるメリットが非常に大きいリーダーが本気で価値を信じ、行動することが要
結局は、リーダー自身が「感動なんて不要」と思っていれば、いくら表面的な仕組みを整えてもチームに浸透しない。逆に、リーダーが自分の言葉と行動で「この仕事は面白い」「ここに意味がある」と示せれば、自然と部下や周囲にも“仕事を楽しむ、達成の喜びを共有する”機運が高まり、その結果として大きな成果が得られる。
■ おわりに
「働くことに感動が大切だ」という主張は
単に「いい話」を求めるためではない
人のモチベーションは“お金”だけでは最大化できず
“意味”や“やりがい”を実感できたときに爆発的な力を発揮する─
これは数多くの実例や研究データからも見えてきた事実。
リーダーが感動を軸にしたマネジメントを丁寧に行えば
メンバーの自発性と成長意欲が引き出され
チーム全体のパフォーマンスが高まる可能性は十分にある。
さらに、その“感動”が組織を超え、顧客や社会に広がっていくとすれば――働くことがもっと面白く、価値あるものになると今回で確信できた