カルチャー経営のススメ
カルチャーは戦略に勝るのか!?
ピータードラッカーは「Culture eats strategy for breakfast」という言葉を残している。直訳していくと、「カルチャー(文化)は戦略を食べてしまう」という意味で、現在は上記の「カルチャーは戦略に勝る」という意味でつかわれることが多い。
では、実際のところ本当にカルチャーは戦略に勝るのだろうか?
その問いに答える前に、私がカルチャーの重要性に気づいていったのは、多くの企業で研修を提供する中でカルチャーの影響力の大きさを目の当たりにしたからである。
例えば、新入社員研修で、挨拶トレーニングをしたとする。新入社員なので素直に吸収し、見違えるように変化していく。しかし、もし職場が誰も挨拶をしない文化だとすると、1週間もせずにその新入社員は挨拶はしなくなる。
それくらい人は職場風土=カルチャーに大きな影響を受ける。それは逆も一緒で、研修なんてしなくたって職場でみんなが当たり前に挨拶をしている文化があれば新入社員は当たり前に挨拶をするようになる。
このようにカルチャーが人に与える影響は非常に大きい。
それでも、先述した本当にカルチャーは戦略に勝るのだろうか? 素晴らしい戦略があればカルチャーなど必要ないのではないだろうか?
カルチャーが戦略に勝る理由
「戦略を実行するのは人であり組織である」
一言で表すと、これがカルチャーが戦略に勝る理由である。
戦略を実行していくために必要なのは、スピードや改善していく力、挑戦やチームワークなどが非常に重要になってくる。
そういった中で企業のカルチャーが現状維持を愛し、無理をせず、個人主義で時間意識も少ないカルチャーであった場合、戦略は機能しなくなる。
もっと個人レベルでいうと、どれだけ素晴らしい戦略があっても実行するフェーズで、すぐに「無理・・・」「できない」と思ったり、常に「人のせい、環境のせい」と思う人ばかりであれば戦略は実行できないと思う。
逆に、チャレンジや顧客志向、改善がカルチャーとして確立していれば、戦略が多少曖昧なものであっても現場で試行錯誤が生まれて成果へとつながる確率はあがっていく。
ましてや、激動の時代の中で戦略は刻一刻と変化せざるおえない中では、戦略よりも変化、対応、改善できるカルチャーを持っていることが企業の大きな強みになってくる。
カルチャーを作るために
素晴らしいカルチャーに戦略がのるからこそ、戦略が機能し組織のパフォーマンスは最大化していく。
では、どうやったらカルチャーを作っていけるのか!?
それには、MISSIONとVALUESの明文化と浸透が大きなカギとなる。
MISSIONは企業の理念であり、その企業の存在意義、目的を示すもの。自分たちが何者なのかを表すものであり、それが浸透していくことで“らしさ”が生まれてくる。
VALUESは企業の価値観であり、その企業が大切にしたい価値観、社員に大切にして欲しい価値観を示すものである。その価値観がわかりやすく、浸透していくと、日々の行動判断の基準となっていくものである。
上記の2つが浸透し、行動として具現化していくと、目に見えない文化=カルチャーとして形成されていくのである。
だからこそ、カルチャーを作っていくために、理念と共にバリューの浸透が最も大切になってくる。
カルチャーを作っていくステップ
バリューを構築し、バリューを浸透させていき、バリュー体現が日々の現場で行動に表れて、習慣化されたときにカルチャーとして出来上がる。
だからこそ、まずは自社のVALUEを明文化することからスタートする。
そして、そこからはそのバリューをTOPが先頭をもって発揮すると共に発信していくことが必要になる。
さらにはバリューに基づいた採用をしていくことで、カルチャー経営の肝であるカルチャーフィットの重要なポイントが出来上がってくる。
そして、私がカルチャー経営を進めているのは、戦略に勝るだけでなく、カルチャーをブランド化させた時に、大いなる力を手に入れることができるからだと思っている。
画像には、スターバックスのようなと書かせていただいたが、スターバックスでは、カルチャーがブランド化されている。
だからこそ、飲食業態でありながら採用力が高く、さらにはアルバイトでもスターバックスらしく働くことが当たり前に浸透されているので非常に高いレベルで働くことができ、さらにはそれが顧客体験にまで届いているため、顧客がそこのカルチャーを共に体感していくことができる状態になっていることがファンを作っている大きな力となっている。
グーグル、アップルなど偉大なる企業には必ずカルチャーがある。
ただ、20名前後の企業だってカルチャーを作ることはできる。自分たちらしく、大切にしたい価値観を明文化し、浸透し素晴らしいカルチャーを作ることは働く社員と顧客がみながWIN-WINとなるこれからの経営の大いなる重要項目になると思っている。
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