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進化しているデカフェ!どうやってカフェインを除去しているのか
デカフェのコーヒーとはカフェインをほぼ取り除いたコーヒーのことです。
カフェイン耐性の低い方や妊婦さん、夜コーヒーを飲まれる方に親しまれています。
ヨーロッパではデカフェが市場の20〜30%を占めるほど一般的なのですが、日本ではまだ1%にも満たないと言われています。
でも日本のデカフェ市場も急速に進化していて、コーヒー屋で目にする機会も増えてきましたよね。
そこで皆さん、疑問に思いませんか?
どうやってカフェインを取り除いているのか。
いくつか方法があるのですが、その違いを簡単にまとめたいと思います。
ケミカルプロセス(有機溶媒抽出法)
ドイツで開発された初めてのカフェイン除去法です。
当初はベンゼンが使われていて、カフェインだけでなくその他のコーヒーの成分も一緒に溶剤に溶け込ませることで除去していました。
現在はベンゼンではなく、より毒性の弱いもの(主にジクロロメタン)が使われており、安全性が高められています。
でも依然として安全性が問題視されており、ヨーロッパでは流通していますが、日本では輸入が認められておりません。
そのため日本在住の人が目にする機会はほぼないと言ってもいいでしょう。
ウォータープロセス(水抽出法)
これは名前の通り水を使ってカフェインを除去する方法です。
なんとカフェインは水に溶けるんです。
しかし実は他のコーヒーの成分も水に溶ける水溶性です。
なのでただ水で除去しようとするとコーヒーの成分まで溶け出してしまい、何の味もしないコーヒー豆が出来上がってしまいます。
ではどうするのか。
カフェイン以外のコーヒーの成分で飽和した水溶液に漬けるんです。
そうするとカフェインだけが水中に溶け出して、他の成分は生豆に残った状態になります。
これがウォータープロセスです。
![](https://assets.st-note.com/img/1722089391765-rPYmMLvwTG.jpg?width=1200)
また、ウォータープロセスには2種類あります。
スイスウォータープロセス
コーヒー以外の成分で飽和した水溶液がコーヒー生豆の周りを何回も循環することでカフェインを除去する方法です。
この水溶液を循環させる時にカフェイン分子のみ通さないフィルターで濾すことでカフェインを徐々に取り除いています。
ちなみにこのプロセスはスイスで研究開発されたのですが、最終的に開発し特許を取得したのはカナダの会社だそうです。
マウンテンウォータープロセス
スイスウォータープロセスとの違いは、水溶液を循環させる時に加圧・加熱も同時に行う点です。
こうすることで、より効率的にカフェインを取り除くことができます。
つまり水溶液を循環させてフィルターで濾す回数を減らすことができるので、プロセス臭と言われるデカフェ特有の匂いも抑えられるというわけです。
超臨界二酸化炭素抽出法
個体・液体・気体のどれでもない超臨界状態の二酸化炭素を使うことで短時間かつカフェインをピンポイントで除去することができるというすごいやつです。
コーヒーの風味が失われることなくカフェインだけを取り除くことができます。
しかしこれに使われる機材がとにかく高くて、まだまだ作るのが難しいそうです。
日本でもこの取り組みが進んでいるのですが、このプロセスのデカフェを手に入れるのは簡単ではありません。
今後の発展に期待ですね。
液体二酸化炭素抽出法
こちらは液体状態の二酸化炭素を使った方法です。
液体二酸化炭素抽出法の方が超臨界二酸化炭素抽出法よりデカフェ臭がしない、美味しいと言われており、最近はこっちにより力を入れてるそうです。
コーヒーの風味や香りを形成するのに重要な役目を担っているクロロゲン酸の数値を保つことができるのだとか。
やはり技術的にかなり高度なようで、僕はこのプロセスのデカフェを見たことがありません。
バリスタから見たデカフェの特徴
僕が働いているEncore! Coffeeではマウンテンウォータープロセスのデカフェを扱っているのですが、やはり他の豆との違いを感じます。
欠点豆が多い
お店でハンドピックもするのですが、欠点豆が多いのを感じます。
虫食いももちろんあるのですが、ところどころ欠けている豆の方が遥かに多いです。
![](https://assets.st-note.com/img/1722325682553-xMBVXEe7KR.jpg?width=1200)
おそらくカフェインを除去する時に、豆に負荷がかかっているのだと思います。
特有の匂い
生豆の状態から特有の匂いを感じます。
焙煎後はそこまで感じないのですが、ドリップしたコーヒーからは少しではありますが感じますね。
でもデカフェだからという理由ではなく、味でデカフェを選ぶ方がいるくらい美味しいです。
それくらいカフェインを除去する技術も上がっているということですね。
深煎りにしなくても黒い
焙煎すると下記の写真のように黒くなります。
深煎りのように見えるんですが、これそこまで深くないです。
中煎りくらいだと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1722089631428-MNb99wXAjf.jpg?width=1200)
カフェインを抜く過程で生豆も黒っぽくなるので、その影響のようですね。
デカフェコーヒーの研究は急速に進んでいる
このようにデカフェの処理方法は進化してきたのですが、なんとそもそもカフェインが含まれていないコーヒーの木を作ろうとする動きもあるんです。
実際に突然変異ではありますが、エチオピアでカフェインが含まれていないコーヒーの木も発見されています。
でもカフェインを含んでいない木は栽培がとても難しいと言われています。
なぜならカフェインはコーヒーの木が外敵から身を守るための毒としての役割があるからです。
つまりカフェインが無いと自分の身を守るための武器がない、いわゆる無防備の状態となってしまいます。
また、コーヒーの木は品種改良が難しい植物としても有名らしいです。
上記2点の理由から、カフェインの含まれていないコーヒーの木はまだ商業化には至っておりません。
でも技術の進化によって、カフェインの無いコーヒーの木から取れたコーヒー豆が市場に出回る日もそう遠くはないのでは無いかと僕は思ってます^^
その日がとても楽しみですね。
ちなみにEncore! coffeeのデカフェはこちら ↑ です。
コーヒーライフを楽しみましょう!