ばあこは、おばあちゃん子だった。 優しくて明るいおばあちゃんは亡くなった。ばあこはいつも天国のおばあちゃんに話しかけている。 おばあちゃん。私どうしたらいい? 統合失調症の息子が暴れてる。 私に包丁をちらつかせて脅してくる。 僕が不幸なのは全て親のせいだ。 親は僕に何もしてくれなかった。 僕に一人部屋を与えなかった。 僕にスマホを与えなかった。 警察は現行犯しか捕まえてくれない。 おばあちゃん!助けて!
楽子は不思議に思う。 なぜ人々は皆、揃いも揃っておんなじ格好をするのか?地味か派手かの違いこそあれ、大体が似たような格好をしている。我々は前もってプログラミングされたロボットかアンドロイドなのだろうか? 昨今の夏の暑さは異常だ。 みんな水着で過ごすと良いのに。 男性も涼しい素材でできた風通しが良いワンピースやスカートを履いたらいいのに。 喪服は黒って誰が決めた? セレモニーにスーツを着るなんて肩が凝るだけじゃん!ヒールの靴は足を痛めるだけだろう。国民服はジャージでいいんで
マネコは生まれてこのかた他人の真似しかしてこなかった。自分の意見なんてない。自分の信念なんてない。 マネコの頭の中にある全てがマネコの周りの人、テレビ、ラジオやネットで見聞きした事、新聞、雑誌や本の受け売りだ。この先も真似っ子人生まっしぐらなマネコなのである。
哀子の記憶は3歳に始まる。 哀子にとってお母さんは怖い人だった。お母さんはプライドが高くて、わがままで、食いしん坊でヒステリックな人だった。哀子はいつもお母さんを怒らせないように細心の注意を払っていたが、お母さんにとって哀子はどうしたってグズでのろまな「できんぼうず」だった。お母さんは自分が気に入らないと哀子に怒鳴り散らし、憎々しげに睨みつけるのだった。哀子は「お母さんは私のことが嫌いなんだな。」と思った。「そんなに私のことが嫌いなら、なんで私を生んだのだろう?」 「この人は