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スムーズにアウトプットが出ている状態は良い状態なのか

仕事や研究、創作活動等、何かしらの活動をしていてアウトプットが出ているのは、普通に考えれば良い状態のはずである。何も生み出していないよりも、生み出している方が良いはずだ。

一方で、アウトプットが出ているということは、それまでのインプットが結晶化されて、アウトプットとして表出している状態、つまり蓄積されたインプットを食い潰している状態とも言える。現時点でアウトプットが出ているのは、過去の自分が積み上げたインプットがあるからだ。

ということは、将来のアウトプットにつなげるためには、現時点でのインプットが必要となる。インプットが枯れると、将来のアウトプットが枯れてしまう。それを皆わかっているので、インプットを継続しようと努力するが、うまくいかなくなる。

何故なら、一度アウトプットが出るようになると、そのアウトプットをもっと欲しがる人たちが出てくるので、そのニーズに応えなくてはならなくなる。インプットは自分への投資なので周りは誰も喜ばないが、アウトプットは基本的に誰かのためになるものなので、周りは喜び、それに対して対価を支払うのである。
こうして、同じ時間をかけるなら、インプットではなくアウトプットに時間をかける方が合理的となり、インプットが細ってくる。

つまりアウトプットが出ている状態は、今の瞬間はいい状態かもしれないけれども、中長期的な目線で見たら良くない状態だということだ。

こんな観点を踏まえて、私ははキャリア戦略上、1つのルールを決めている。それは、「アウトプットのピークアウト期に差し掛かっていると感じたら、仕事を変える」ということだ。

これはルールとしてはシンプルだが、実践するのはかなり難しい。まず、当然ながらアウトプットが良く出ている状態なので、わざわざ仕事を変えるのは勿体無いと感じてしまう。

そして、周囲の理解も得られにくい。今の仕事がうまくいっているのに、何故やめるの?と聞かれる。さらに言えば、またインプットの積み上げからやり直しになるので、次の仕事は現時点の仕事より大変になることが多くて億劫だ。

それでも、中長期的な生存戦略のために必要なことだと強く信じているので、ドライに意思決定している。周囲からすると、多分よくわからない理由で職を変えていくやつだろう。

この戦略に従って意思決定をして、今のところ後悔したことはこれまで一度もない。短期的には損をしているなと感じることはあるが、時間が経って振り返ると、「あのままの延長線上では、今できていることは出来ず仕舞いだったな」と感じることが多い。中長期的な生存を最重視する上では、非常に重要な戦略である。

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