抽象的に考える人と具体的に考える人が互いをバカにしないために必要なこと
事業について話し合っているとき、抽象的に考える人と具体的に考える人は大きくすれ違う。抽象的に考える人は、「そんな細かいことを話す前に、そもそもその前提や全体像を話すべきだ」と考えている。他方、具体的に考える人は、「そんなフワフワしたことを話していても何もわからないのだから、もっと具体的な現象について語るべきだ」と考えている。
有名な性格検査であるMBTI(Myers-Briggs type indicator)で言えば、N (intuition) 型とS (Sensing) 型の違いに相当する。あえて簡略化すれば、前者は抽象的な概念を重視し、後者は五感から得る具体的な情報を重視する。
この2種類のタイプはそれぞれ、同じものを全く正反対の方向から見ている。見ているものが異なるが故に、互いのことを「ちゃんと考えていない」「何もわかっていない」とバカにしてしまいがちだ。
そうならないためには、共通言語を作る必要がある。その共通言語を作るためのキーフレーズは、「あなたの言っていることは抽象化(具体化)すると、○○ということを意味していますか?」である。
どちらのタイプの人も、別タイプの人が話していることを自分なりに解釈し、自分の意見を伝えようとしている。ただ1つの問題は、物事を理解したり解釈したりするアプローチのベクトルが180度異なるということだ。であれば、そのベクトルを逆転させるようなコミュニケーションをすればよく、そのためのキーフレーズが先ほどの一文である。
抽象的に考える人は、具体的に考える人から話を受けて、話が具体的すぎるなと感じたら「それは抽象化すると、○○ということを意味していますか?」と投げかける。具体的に考える人は、その逆をやるのである。会話を通じて、ピンポンのように抽象と具体を往復し、互いが見ている同じ対象物について上手く噛み合わせながら語るのだ。
ひとたび共通言語を持てれば、別タイプの人は強力なタッグを組める。何しろ、互いが自分の見ていないものを見ているのだから、これほど心強いことはない。共通言語づくりのためのキーフレーズの投げかけ。これだけでコミュニケーションが断然スムーズになる。