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自転車旅 第0話 『始まりの時』

1.プロローグ~始まりの時~

3月19日。
 

 僕の高校時代の先輩が大学を辞め、今までいた環境を変え、誰もやったことがない「音楽経験者0の若者が800人のライブハウスを埋める」という企画のスタッフとして遂行させた。
 

 先輩とは高校時代から親交が深かったため、将来の話など真剣に語りあう仲で「俺が輝いてる姿見せてやんよ」という言葉につられ、足を運んだ。

結局、800人という人数は集客できなかったが、僕が見た限りではかなりの人数が集まっていた。テーマは「不可能なんてない」だった気が。

 そんなテーマなんて正直よく聞くし、内容も別段凄いというわけではなかったが、心から楽しんでる姿や、本当に不可能なんてないんじゃないかと思わせるようなパワフルさで、思ってる以上に最高のライブだった。先輩はスタッフなので表に出ることは基本ないが、終盤のスタッフ紹介にて派手に暴れてる姿をみて、してやられたと思った。

 元々先輩とはタイプが似ていて、社会的に分類するなら社会不適合者の枠を超え、真っ先にゴミに投げられるような僕らは、互いに互いを認め、切磋琢磨してきた。
   

 そんな中、今回のライブ。ごみの中で化学変化なのか、異様に輝く原石のような、そんな光を放つ彼を見て「このままじゃヤバイ」と思い、前々から考えていた1つの企画を実現させることを決めた。

2.まさかの参戦者

4月4日。

僕は読売ジャイアンツが大好きである。毎日球場に足を運ぶとまではいかないが、時間がある際は必ず試合を拝見している。ということで、本日は阪神タイガースファンの友人と伝統の巨人阪神戦を観に行った。

 試合結果は10‐1で巨人の勝利。ここまで大勝なのも逆に困るものだが、嬉しいことに変わりはない。


光があれば影が存在するように、勝った方がいれば負けた方もいる。
勝って上機嫌な僕とは逆に、負けた友人はがっかり肩を落として、、と思いきや、そんなこともなく淡々とした口調で「もう慣れたっス」と開き直っていたので敵ながら感心してしまった。

 

友人はYCC(よしもとクリエイティブカレッジ)の同期生であり、全く馴染めていなかった僕と同じで彼もいつも一人で授業を受けていた。キッカケははっきりとは覚えていないが、同じ野球好き、なんJ民であることから意気投合した。

 

そんな彼とはぼちぼち仲が良く、同校を卒業してからも連絡は取りあっていた。彼は在学中もニート、卒業中もニートという「ニート界のハンカチ王子」の異名を持つ彼とは将来の話もほぼしたことがなく、この際いい機会なので訪ねてみると、今年はまだニート路線でいくとのこと。

そこで自分の話になり、何故か恥ずかしいとも思わず「今度映画でも行かね?」的なノリで誘ってみると意外にも答えは簡潔なものだった。

「俺、自転車で日本一周しようと思ってるんだけど、来るか?」

「お供しますよ」

こうして、僕らの旅はスタートした。

・この物語とは

どうもマツです。

前々から僕は自転車旅について話してきた。
「旅で得たもの」、「旅に必要な道具」などはゲームを実際にプレイした人の思ったことや感想のようなもの、つまりは攻略本のようなもので、今回からはじゃあその攻略本のゲームって一体どんなストーリーだったのかということを話していく。

ドラクエの装備の入手方法やどこが面白いかとかを聞いたって、実際のストーリーを知らなければあまりピンとこないものだろう。

決して波乱万丈な物語でも、何かが起きるような壮大なストーリーでもないが、これは僕の初めての挑戦であり、初めてのストーリーである。色々な人に支えられ、なんとか立っているへっぽこボクサーのような見苦しい姿だが、最後まで見届けてほしい。

では、いってみよう。

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